いやあ、驚いた。11月8日に行われたアメリカの中間選挙は、思った以上に民主党が踏ん張った。選挙戦終盤は共和党がかなり追い上げているムードだったが、ふたを開けてみたら「レッドウェーブ」(赤い波=赤は共和党のシンボルカラー)は不発に終わったようだ。
とくに”MAGA”と呼ばれる「トランプ命」の共和党候補者たちの戦績が思わしくない。この結果を見たドナルド・トランプ氏は、不機嫌になって周囲を怒鳴り散らしていると聞く。
逆に共和党内では、トランプ氏に逆らっていたフロリダ州のロン・デサンティス知事、ジョージア州のブライアン・ケンプ知事が堂々の得票率で再選を果たしている。「MAGAも強いが、反MAGA感情もかなり強い」ことを知らしめた選挙結果であったといえよう。
下院「ちょっぴり共和党多数」で国債発行にブレーキ?
本稿執筆時点(11月11日)においては、下院は共和党が多数を占めそうであり、年明け1月3日には下院議長の座は民主党のナンシー・ペロシ氏から、共和党のケビン・マッカーシー氏に明け渡される公算が大である。
ただし議席数の差は小さいので、マッカーシー新議長は党内のMAGA議員たちの造反に手を焼くことになりそうだ。これは今後の債務上限問題などの審議にはマイナス材料となる。マーケット的には、「来年のどこかでアメリカ国債の発行にブレーキがかかるおそれあり」と心に留めておきたいところだ。
そして上院は民主党48議席対共和党48議席。アラスカ州とネバダ州は共和党の勝利が濃厚で、アリゾナ州は民主党が現有議席を守りそうだ。その場合の結果は、民主党49議席対共和党50議席となる。
最後に残るジョージア州は、現職の民主党ラファエル・ワーノック候補と挑戦者の共和党ハーシェル・ウォーカー候補が大接戦。いずれも州法が定める50%の得票には届かず、12月6日に行われる再選挙になだれ込むことになる。となれば、勝ったほうが上院の多数を握るという、しびれるような展開となる。残り1カ月、ジョージア州の両候補には全米からの応援と選挙資金が送り込まれてくるだろう。熱い選挙戦となりそうだ。
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