長友佑都が明かす「メンタルモンスター」の秘訣 「批判やミスの中にこそ成長のチャンスがある」
僕は彼の凄さ、自分がそれに対して抱く感情に向き合ってから、実際に試合で起こるであろうパターンを探し始めた。
パターンを探し、頭でイメージしながら、その対応策をインプットしていく。
すると少しずつ、自分の中で何ができて、何が危険なのかが見えてくる。
最後に僕は、一番効果的になるであろう対応をまとめた。
それは、「彼の長所を消す」ことだ。
そのために必要なのがポジショニングだった。
ヴィニシウスがサイドでフリーでボールを持つシチュエーションを作らせない。常に、そのポジションを取る。
繰り返し見た、僕の結論だった。
重圧をエネルギーに変えれば、人生が変わる
ブラジル戦を振り返ると、実は試合前のアップが終わりユニフォームにそでを通した瞬間に、僕の中にあるネガティブな感情はゼロになっていた。
不安がエネルギーとなり、それが燃え始めていた。
自信がみなぎり「負ける気がしない」。
ピッチで、相手がものすごく小さく感じられる。
信じてもらえないかもしれないけど、自分が大きくなり、「気」が出ていて、相手選手を威圧している――まるで映画の「超人ハルク」になって、ピッチ上を見下ろしているような感覚。
この感覚にまで自分を持ってこられれば怖いものはない。
ロシアワールドカップのコロンビア戦、カタールワールドカップ最終予選のサウジアラビア戦、そしてこのブラジル戦。
僕は、節目節目で、その感覚をもってピッチに立つことができた。
そこには必ず、人生で有数の重圧に支配される時間があった。
ブラジル大会の借りを返すという重圧、大会前の大きな批判。
負けたら日本代表のワールドカップ出場がなくなってしまうかもしれない試合。
ワールドカップメンバーになることに向けて、生きるか死ぬかの決戦。
その重圧に向き合い、それを自らのエネルギーに変えてきた。
36歳になりワールドカップにまだ出たいと思える。
そこを目指すことができる立ち位置にいる。それらはこうした重圧があり、それを乗り越えた先――人生が変わった瞬間を知っているからだと思う。
僕はこうした感覚を、多くの人に届けたい。
つらいことはあるし、壁にもぶち当たるだろうけど、それは本当にチャンスでもあるのだ、と。それをエネルギーに変えることができれば、あなたは爆発的な成長を遂げることができるのだ、と。
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