長友佑都が明かす「メンタルモンスター」の秘訣 「批判やミスの中にこそ成長のチャンスがある」
いわば、メンタルモンスターだ。
自分で言うなよ、って言われるかもしれないけど。
でも、実は誰だって「メンタルモンスター」になれると思っている。才能も自信もなかった僕が、ここまで現役を続けられたのだから。
ネガティブをポジティブに変換する術
人生を変える経験をするたびに僕は強くなった。
必ずそのそばにあったのが重圧との戦いである。
その乗り越え方を僕は、経験的に学んでいった。
「長友はポジティブだ」と言われるのはその方法を身に付けることができたから。いわば、「ネガティブをポジティブに変換する術」とも言える。
いいプレーをするためには批判や重圧を自分の糧にしてポジティブに変えなければならない、と思うようになったのは、海外でプレーを始めてからだ。というのも、とにかくインテル時代は、賞賛と批判、双方がすさまじかった。
いいプレーをすれば神様のように扱われ、敗戦に直結するプレーをすれば「HARAKIRI(腹切り)」と書かれた。メディアだけでなく、ファンからも。
負けた翌日は、ミラノの市内を歩くのが怖かった。勝った翌日はまるで英雄のよう。
そうした日々を7年も過ごすうちに、批判や重圧の見方、捉え方を、自分の中で変えられるようになってきた。
批判を受けたり、ミスをしてしまった後、前に進むために重要なことは、まず「HOW」(どうやって)を見つけることだ。
人は失敗をするとどうしても「WHY」(なぜ)ばかりを追求してしまう。
なぜ、あのミスをしたのか。
なぜ、前にクリアできなかったのか。なぜ……。
もちろんそれは大事な作業だが、マインドが「WHY」ばかりになると、なかなか前へ進むことができなくなる。それは、いつまでも「批判」や「ミス」にとらわれているのと同じだ。
どこかでスイッチを「HOW」に切り替える。
大切なのはそのスイッチだ。
例えば、イタリアにいる頃は、車に乗ることが僕のスイッチだった。
あれは2017年4月30日のナポリ戦のことだ。
僕のクリアミスが失点にそのまま直結し、実質的にそのプレーで、インテルのチャンピオンズリーグ出場権はおろか、ヨーロッパリーグの出場をも逃す結果になった。
あのときはありえないくらい凹んだ。チームメイトが心配してくれるほどで、彼らに「申し訳ない」と言うだけで、精いっぱいだった。
クラブハウスを出て、車に乗る。
このとき、何となく心に決めていた。
「家では絶対に凹まない。なぜ?を考えないようにしよう」
ハンドルを握り、アクセルを踏みながら――片道30分の車中で僕は「HOW」を考えることにシフトした。
どうすればあのミスを防げるか。
どのように今後取り組めばいいのか。
その試合後、僕は1つのツイートをした。
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