「PR漬け社会」の到来で起きた情報流通の主役交代 6兆円の広告市場に染み出す、新興勢力の正体

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企業が消費者にさまざまな手法・目的でアプローチする「PR(パブリック・リレーションズ)漬け」の世界がにわかに到来している(デザイン:藤本麻衣)

「1年の節目を #ハワイ で過ごしませんか?」「ただいまライブ実施中です TikTokではプッシュバック車からみえる景色もお届け」──。

これらはツイッターで116万のフォロワーを抱える、ある航空会社の公式アカウントの投稿だ。SNSの利用者ならば、こういった企業アカウントを1つでもフォローしている人が多いのではないか。

スマートフォンが行き渡り、消費者がSNSや動画サイトなどからなる新しいメディア環境をすっかり受け入れた現代社会。その裏側で冒頭の例のように、企業が消費者にさまざまな手法・目的でアプローチする「PR(パブリック・リレーションズ)漬け」の世界がにわかに到来している。

「パブリシティー」と「広告」の2択だったが

週刊東洋経済 2022年11/19号[雑誌](氾濫するPR)
『週刊東洋経済 2022年11/19号 氾濫するPR』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら。電子版はこちら

11月14日発売の『週刊東洋経済』11月19日号では「氾濫するPR」を特集。情報流通の新たな担い手となりつつあるPR会社・業界の分析や、失敗しない定番オウンドツールの活用術、そしてこれらと対照的に不振が極まるマスメディアの現在地などを追っている。

過去、企業が消費者とつながる手段は、主にマスメディアを介した2つのルートに限られてきた。新聞やニュース番組からの取材でメディアに露出する「パブリシティー」と、メディアに手数料を支払って打ち出す「広告」だ。

日本では地上波テレビとCMビジネス、そしてそれをなりわいとする大手広告代理店が発展したことで、パブリシティーは長年、さほど注目される手法ではなかった。

しかし、報道機関のうち、日常的にPRから情報を得ている、または影響を受けているコンテンツの割合は最大で75%に上るとする調査もある。

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