「PR漬け社会」の到来で起きた情報流通の主役交代 6兆円の広告市場に染み出す、新興勢力の正体
広告会社も手をこまねいているわけではない。電通グループでは22年、傘下の電通PRコンサルティングが創業後初めてグループの本社ビルに移転。博報堂DYホールディングスも子会社でPR発想のプロデューサー組織を発足させるなど、広告・PR両事業者に境界線はもはやないといえる。
「PRの世界はすごい勢いで進化しているのに……。メディアの関係者は恥ずかしいと思ったほうがいい」。PR領域に転職した、元テレビ局記者はそうぼやく。
メディアとPRの力関係の変化は、人員数の推移にも表れている。日本国内では12年から20年にかけて、PR人材の数が3643人から6834人へと倍近くまで増加。一方、新聞・通信社の記者数は2万0121人から1万7685人に減少した。「つい最近も全国ネットの報道機関から複数人が移籍してきたばかりだ」(PR会社首脳)。
ライバルとの「年収差」は歴然
ただ、PR会社が広告やマーケも含めた広義の潜在市場において勝ち切れるかは未知数だ。
ライバルとなりつつある電博とPR各社の年収差は大きい。ベクトルは電通に約500万円の差をつけられており、ほかの上場3社に至ってはダブルスコアだ。前出のPR会社の幹部は「PRは“広告の安い版”というニーズで支持を広げてきただけに単価を上げにくい」と背景を明かす。
専売特許といえる商品やサービスを持たないPR会社にとっては「人材がすべて」(複数のPR会社幹部)。このままの待遇で成長性があるかは疑問だ。
広告と市場が融合し始めたPRはどこまで拡大するのか。その命運は、人材・組織力を発展させられるかにもかかっていそうだ。
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