インターンシップとは、学生が企業などで就業体験をする制度のこと。文部科学・厚生労働・経済産業の3省の合意文書では「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されている。学生にとっては自己の職業適性や将来設計について考える貴重な機会だ。
だが、政府の方針変更によりインターンは本来の目的を逸脱して採用試験の一部へと変容している。
政府は今年6月、企業がインターンに参加した学生の評価を採用選考に利用できるようにルールを変更した。従来の文部科学、厚生労働、経済産業の3省の合意文書には「企業は学生のインターン情報を採用選考活動に使用できない」と明記されていたが、一定の条件下では使用が認められることになった。
ルール改正の対象になるのは2024年度以降に卒業・修了する大学生や大学院生たち。現在の大学3年生と修士1年生から新ルールが適用される。
実際には、今でもインターン時の評価を選考に活用する企業は少なくない。政府の方針変更は現状追認にすぎないとの声もあるが、多くの大学関係者が「インターンシップ=採用試験」いう傾向が強まると予想する。
インターンが採用試験化してしまうと、学生は企業から高い評価を獲得することを目的としてしまう。失敗を恐れるあまり、いろいろ経験して自分の将来について考えるというインターン本来の目的から外れるのだ。政府の方針変更により、学生たちは本当のインターンを体験する機会を失った。
今後、就活とは一線を画したキャリア教育としての就業体験を希望する学生は、1~2年生からインターンに参加することになるだろう。
1~2年生向けに特化した就業体験プログラム
明治大学就職キャリア支援センターでは今年度から学部1・2年生限定の就業体験プログラム「Meiji Job Trial」を夏季休暇期間中に実施した。
明治大学は、早期から就業体験をすることが、その後の学生生活での成長を促進し、キャリアプランを主体的に選択する力を醸成すると考えている。ところが「近年はインターンシップが採用試験化して、インターン本来の役割を果たしていないと感じていた」(明治大学)。
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