明治大の1・2年生向け「就業体験」が持つ深い意図 政府方針の変更でインターンは採用試験の一部に

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トヨタファイナンスの就業体験プログラムに参加した明治大学の学生たち
トヨタファイナンスの就業体験プログラムに参加した明治大学の学生たち(写真:トヨタファイナンス)

トヨタファイナンスも低学年向けに就業体験プログラムを実施するのは今回が初めて。通常、プログラム運営を仕切るのは人事部だが、同社では地域貢献を担う部署の「この町いちばん企画室」が内容を決めて主導した。今回は採用ではなく、学生の就業観を養うのが目的なので人事部は前面に出なかった。

「初日は緊張からか対話が少なかったが、グループワークのやり方等を工夫することで、日に日に質問や積極的な意見が飛び交うようになった。5日目には社員やトヨタ販売店の社長の前で立派にプレゼンも行った」(トヨタファイナンス)

5日間でも学生は大きく成長するようだ。ロッテとトヨタファイナンスは来年の参加について前向きに考えている。

インターンが採用試験の一部となれば、就活生は失敗を恐れ萎縮して本当の就業体験をすることはできないだろう。本来ならば失敗も貴重な経験であり無駄ではないが、試験の一部となれば貴重な経験だ、などと言っていられない。

純粋な就業体験は1~2年生のうちに

今後は純粋な就業体験を希望するならば、1~2年生でインターンに参加するしかない。

Meiji Job Trial終了後のアンケートでは回答者206名のうち200名が「満足・やや満足」と回答した。

学生の間からは「1年生でも参加できる就業体験プログラムは少ないが、Meiji Job Trialに参加して視野が広がった」「事前研修から実習までしっかりとしたサポートがあり、充実していた」とプログラムを評価する声が多かった。明治大学は来年以降もこのMeiji Job Trialを継続する。

今後、1~2年生向けインターンを実施する大学が増えるだろうが大学の負担は重くなる。大学としては就活を間近に控えた3年生のインターンをフォローしなくてはならず、同時期に1~2年生向けインターンを運営するのは大きな負担だ。同時期に2種類のインターンを実施する余裕のない大学は少なくない。1~2年生向けインターンに関して大学格差が生じる可能性もある。

明治大学がMeiji Job Trialに乗り出したことは、日本のインターンが大きく変わる象徴的な出来事といえるかもしれない。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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