サッカー代表「用具・医療・分析」担当に精鋭が結集 最強スタッフ含めた総力戦で強豪国と対戦

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そのドイツ戦を筆頭に、W杯本番で日本が勝利するために、対戦国の映像を見続け、分析しているのが、4人のテクニカルスタッフだ。とりわけ、2014年からJFAで働く寺門大輔さんはリーダー的存在。2016年リオデジャネイロ五輪が発足した時から分析スタッフとして活動しており、実際に赴いた国は50を超えるという。

「映像を集めること自体がすごく難しくて、A代表ならある程度の映像は出てくるんですけど、対戦国によってはないことも多い。入手困難な場合は自分で撮影できればしますし、それも叶わなければあらゆる手段を使って手に入れるということになる。現地在住の日本人の方や現地リーグでプレーする選手とか本当に多くの方に協力していただいています。

今の時代は大会が大きくなればなるほどトレーニングを見るのが難しくなる。全ての国が警戒しているので、情報収集のハードルが上がっていると痛感します」

対戦国の分析を行う寺門大輔さん(写真提供:JFA)

そういった環境の変化にも対応し、さまざまな工夫を凝らして集めた映像や情報を彼ら自身で何度もチェックし、チームに落とし込むという作業は、さながらIT技術者のようだ。ボール支配率やシュート数、走行距離のみならず、選手の立ち位置やプレーエリアなどデータも細分化されているだけに、それも有効活用できなければ、日本を勝利に導けない。森保監督や選手たち以上に細心の注意を払っているのが、寺門さんらテクニカルスタッフなのかもしれない。

「代表チーム内のミーティングの数も増えているので、我々テクニカル4人が同時並行で、攻撃、守備、セットプレーと各担当コーチのサポートにつく形でやっています。

カタールW杯の場合、グループリーグの相手はドイツ、コスタリカ、スペインと決まっていますが、それ以降はどこになるか分からない。ラウンド16・8・準決勝・決勝を含めて先を見ていくパートを作りながら、情報収集していく体制も作っています。

ただ、実際にプレーするのは選手で、采配するのは監督。いろんな提案やウィークやストロングの分析はしますが、その通りにならないことも多い。僕は自分が出したデータや分析も『本当に相手がこうしてくるのか』と最後まで疑い続けながら仕事をしています。ゲームが始まってからも『自分が伝えたこととは違う可能性もある』という考えを持ちながらやっていますね」と彼は気苦労の多い作業の連続であることを明かしていた。

このように信頼できる最強のスタッフがいてこそ、森保ジャパンはカタールで史上初のベスト8入りを目指せる。さまざまな困難は付きまとうが、彼らの英知を結集して、高みを目指していくしかないだろう。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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