サッカー代表「用具・医療・分析」担当に精鋭が結集 最強スタッフ含めた総力戦で強豪国と対戦
麻生さんはもちろん今回もカタールに赴き、猛暑の中、率先して用具を運び、ビブスや練習着、ボールなどを準備する。高校の同級生で30年間、一緒にキットマネージャーとして働く山根威信さんとともに豊富な経験をチームに還元してくれているのだ。
今回の日本代表はメンバー26人中、19人が初W杯。欧州5大リーグでプレーする久保建英(レアル・ソシエダ)や三笘薫(ブライトン)らは高度な国際経験を備えているだろうが、やはりW杯になれば独特のプレッシャーがのしかかる。それを少しでも和らげてくれる2人の存在を彼らも有難く感じるはずだ。
選手と近い位置にいるというのは、メディカルスタッフも同様だ。実際に体に触れたり、ケガ・病気の治療に当たってくれる人々なので、選手側も強固な信頼関係がなければ、自分を委ねられないのである。
目下、森保ジャパンには整形外科医・内科医が各1人、トレーナーが5人。トレーナーは全員鍼灸あんまマッサージ指圧師の資格を持っており、選手のケガ予防、コンディショニングに携わっている。
2020年10月から森保ジャパンに加わった細井聡トレーナーが、代表活動時の仕事を次のように説明してくれた。
「今の代表チームは午後練習が多いですから、その場合は午前中に2枠、夜に3~4枠の治療時間が取れます。つまり、午前中だと10人、夜だと15~20人の治療やケアができるということになります。スタッフが多い分、仕事が分散できるので、1人ひとりに注力できるのが非常に有難いです。
1枠当たりの時間は30~40分。内容は選手の状態によってまちまちですが、マッサージだけで終わる選手もいますし、必要なら針も使いますし、超音波治療器、電気治療器もあるので、それを用いる場合もあります」
治療している間も選手にとっては重要なリラックスタイム。目を閉じて眠りたい選手もいれば、代表活動中のちょっとした愚痴や不安、悩みなどを話したい選手もいる。そういった選手の志向に合わせて、対応していくことも、彼らの重要な仕事だという。
「治療部屋はリラックスできる環境作りが大切です。照明を暗くして、選手の好みの音楽をかけるなどの工夫をします。彼らもつねにピリピリした環境にいますから、我々のところは本音を言える数少ない場所。『来てよかった』と思えるように振舞っています。
ただ、1つ注意しなければいけないのは、練習前の治療。午後にトレーニングがある時には副交感神経が優位にならない方がいい。そこは頭に入れていますね」
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