サッカー代表「用具・医療・分析」担当に精鋭が結集 最強スタッフ含めた総力戦で強豪国と対戦
11月23日の初戦・ドイツ戦(ドーハ)に向け、カウントダウンに入っている日本代表。ワールドカップ(W杯)4度制覇の強豪国に一泡吹かせようと画策しているのは、森保一監督や選手たちだけではない。チームを支えるスタッフ陣も闘志を燃やしている。
日本は1998年フランス大会から過去6度、大舞台に参戦しているが、その全てを経験している力強い存在が、キットマネージャー(用具担当)の麻生英雄さんだ。
キットマネージャーとは、練習や試合で使用する道具を準備、管理する者を指す。一言でいうと裏方に徹する「なんでも屋」。彼らがいなければ、円滑なチーム運営はあり得ない。全てを予見し、先回りして行動できなければ、ピッチ上のさまざまな出来事がスムーズに進まないのだ。
「試合日は3時間か3時間半前に荷物を持って会場入りし、ロッカーの準備をします。選手が1時間半前に入るので、練習着やユニフォームを整えて、ボールの空気を入れたりします。試合中は前半にハーフタイムのロッカー、後半の用具の準備をして、ハーフタイムはピッチでアップしてる選手の手伝いをする。後半になったら片付けという感じで、試合を見る余裕はないです」と46歳ながら小柄で童顔と年齢を感じさせない彼は言う。
サッカー経験のない麻生さんがこの仕事に携わったきっかけは、神奈川県内の高校を卒業して浪人中だった1994年、コンビニでたまたま手に取った求人情報誌で「横浜フリューゲルス(現横浜F・マリノス)のアシスタントマネージャー募集」を見つけたこと。Jリーグ開幕初期にそんな求人が出ていたこと自体、信じがたいが、実際に応募し採用されたという強運の持ち主だ。
ちょうど1995年にフリューゲルスを率いていた加茂周監督が日本代表指揮官となり、その関係もあって代表の手伝いに駆り出されたところ、日本サッカー協会側から高く評価され、1997年から代表スタッフ入り。過去6度のW杯を全て経験してきた。
「1998年フランスW杯のカズ(三浦知良=JF鈴鹿)さん落選の後、北澤(豪=JFAフットサル委員長)に『麻生、頼むぞ』と言われたのはすごく記憶に残っていますね。
2006年ドイツW杯ラストのブラジル戦後のことも印象的です。たまたま選手バスに乗ったんですが、隣に座った中田英寿選手が引退をほのめかしてきたんです。後日、本当に発表されたんで、ビックリしましたね」と彼はいくつかのエピソードを明かす。まさに「選手の心のオアシス」としても重要な役割を果たしてきたのである。
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