台湾のエンジニア集団が「政治」で活躍できるワケ オードリー・タン氏も活躍したコミュニティの今

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〈g0v〉10周年記念フォーラムに集ったシビックハッカーたち(写真提供:CC BY 4.0 g0v 零時政府揪松團)
オードリー・タン氏も入閣前から参加し、世界でも三本指に入る規模を誇る台湾のシビックハッカーのコミュニティ。それが〈g0v(ガヴゼロ)〉だ。
シビックハッカーとは「社会問題の解決に取り組む民間のエンジニア」のこと。
海外から有事が危惧されている台湾だが、台湾で暮らす情報感度の高いシビックハッカーらはいま何を考え、行動しているのだろうか。そこには日本が学べることも多くある。 

コロナ禍で参加人数が爆増中

台湾のシビックハッカーのうち、ソフトウェアのソースコードを開放する〈オープンソース〉に関心のある者が集うコミュニティから生まれたのが〈g0v〉だ。設立からちょうど10周年になる。

数字のゼロを使った〈g0v〉という名称は、政府の略称がgovernmentに由来した〈gov〉であるのに対し、「政治をゼロから再考する」という彼らのスタンスを表したもの。「『なぜ誰もやらないのだ?』と訊くのをやめて、まずは自分がその『やらない人』の一人であることを認めよう」というのが彼らのモットーだ。

コロナ禍にオードリー・タン氏が開発したことで日本でも話題になった台湾政府の「マスクマップ」も、〈g0v〉の1000人ほどのシビックハッカーらとともに開発したものだ。

台湾でもこのコロナ禍で〈g0v〉の存在について知る人が増え、2019年の12月には5000人程度だったSlack(チャットルーム)のメンバーが、現在は1万2000人以上と倍以上にまで成長し、日々活発にやりとりが行われている。

代表的な活動の一つが、2カ月に1度開かれる100人規模のハッカソン。誰でも無料で参加でき、希望者は自発的に議題を提案し、時には政府の関係者や専門家などを迎えながらオープンな場で討論し、プロジェクトの参加者を募ることができる。 

ハッカソンには中学生から社会人まで、幅広い世代・エスニシティ・ジェンダーの人々が参加する(写真:筆者撮影)
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