台湾のエンジニア集団が「政治」で活躍できるワケ オードリー・タン氏も活躍したコミュニティの今
他にも、デジタルメディア『READr』とのコラボレーションで、統一地方選挙の立候補者の政見をデータベースにまとめたオープンソース・プラットフォーム『政見不失憶』への参加者を募る提案や、大学や政府が実施する講義など、さまざまな学習リソースに関する情報を集めたプラットフォーム『台湾開放教育推動チーム TOEDU』を開発中の現役の中学2年生や教師らからの提案、世界中の「Web3.0」の実験を台湾で行うように斡旋し、成功事例を台湾から生み出そうという提案など、全15の提案が行われた。
オードリー・タン氏にぶつけたテーマは・・・
当日は〈g0v〉設立10周年を記念したフォーラムが開催され、台湾のデータ業界に長年貢献してきた面々が集い、この10年間を振り返った。
興味深かったのは、〈g0v〉に初期から参加し、今年8月に設立された台湾政府の「デジタル発展部」トップに就任したオードリー・タン氏を迎えてのフォーラムの議題が、「分散型(非中央集権型)のインターネット『Web3.0』の時代、今後の〈g0v〉はどうあるべきか」であったことだ。
それはつまり、「どうしたら特定の中心人物や代表的なプロジェクトばかりに集中せず、一人ひとりが中心となってコミュニティを運営していけるか」という討論でもあった。
中央集権型組織の政府内でデジタル政策の指揮にあたるオードリー氏にこのテーマをぶつけるというのは、とても意義のあることのように感じた。
このフォーラムでモデレーターを務めた弁護士の侯宜秀氏は、長年〈g0v〉に携わる現役の弁護士であり、3児の母であり、オードリー氏の長年の友人でもある。彼女と話をしていたら、「オードリーは賢いし、話のスピードが速いけれど、今日は“無政府主義者”を掲げるオードリーが何て答えるか、頑張って引き出さなくてはね」と、大役への意気込みを語ってくれた。
そんな話をしながら昼食を取っていたら、急にオードリー氏が警護や秘書たちを連れて会場に現れた。〈g0v〉はオードリー氏にとってホームでもあり、仲間たちから政府内でしっかりやっているかを手厳しくチェックされる場所でもあるように思える。この場所にいるときの彼女は、いつもよりもさらに自然体だと感じるのだ。
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