台湾のエンジニア集団が「政治」で活躍できるワケ オードリー・タン氏も活躍したコミュニティの今

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給与を得て運営を行うのはタスクフォース〈揪松團 g0v-jothon〉の一部メンバーのみで、彼らがハッカソンや2年に1度のサミット、外部とのコラボレーション案件などを行う以外は、すべて参加者のボランティアによって成り立っている。

過去には彼らが政治献金の流れを見える化したプラットフォームを作ったことで、実際に台湾の政治献金法が改正されたこともある。そうしたインパクトの大きいテーマから、教育やフェイクニュース対策などの身近なテーマまで、コミュニティ内ではすさまじい数のプロジェクトが日々動いている。

フェイクニュース対策に政見収集プラットフォーム

去る10月22日、台湾の「中央研究院(台湾総統府直轄の最高学術研究機関。研究者の多くが〈g0v〉を支持しているため、頻繁に会場を提供している)」で、恒例行事であるハッカソンが開催された。

フェイクニュースを民間により監視するプロジェクト「Cofacts 真的假的」からは、最近目立つフェイクニュースのシェアとともに、現時点でLINE会員がおよそ29万人まで成長し、10万件近い情報が届いていること、最近ではテキストデータ以外にも、写真や動画も検証できるようになったこと、それらの情報がすべてネット上で公開されていることなどが発表された。 

「Cofacts 真的假的」によるプレゼンテーション(写真:筆者撮影) 

近頃は台湾有事に関するものや、11月末に迫った統一地方選挙に関連したフェイクニュースが増加傾向にあるが、「このニュースはフェイクニュースかどうか?」というチェックは、民間が行うことにこそ意義がある。政府がフェイクニュースを判断し、政府によって報道や言論の自由が制限されるというのは、民主主義の社会ではあってはならないことだからだ。

「Cofacts 真的假的」では、フェイクニュースだけでなく、サイトやアプリなどへのアクセス数の数値もリアルタイムで公開されているほか、オープンソースで開発されているため、台湾の各ファクトチェック機関だけでなく、タイでも使われている。 

「Cofacts 真的假的」のオープンデータは、ジャーナリストや学者、シンクタンクなどの資料やレポートにも活用されている(画像:「Cofacts 真的假的」のプレゼン資料より抜粋) 
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