心理学に、「同一化」「中心化」という言葉があります。怒りに乗っ取られたり、不安で仕方なくなったりして、思考や感情と自分が同一化して、どっぷりと浸かってしまう状態です。
その状態に気づいて抜け出すことを、「脱同一化」「脱中心化」と言います。しかし、普通に生活をしていると気づきません。そこで、気づきを与えるのが、マインドフルネスの役割だと私は考えています。
SNSの情報の海に溺れ、途切れる思考
『チャッター』では、ソーシャルメディアと共同反芻について書かれていますが、やはり、SNSの問題は年々大きくなっていると感じます。
今、子どもから大人まで、注意力が低下して、長い本が読めなくなっていると言われています。ウェブ系のメディアも、文章はできるだけ短いほうが良いとされ、飛ばし読みするように構成されているものまでありますよね。
人々は、どんどん深い思考ができなくなり、条件反射的なものが増えています。その原因の1つは、SNSなどの刺激の多さだと私は考えています。
刺激は、メール、パソコン、広告など多岐にわたって増えています。人間の消化できる情報は、本当にごく一部ですが、みんながそれぞれの利益のために大量の情報をぶちまけて、その情報の海の中で息をしているというのが今の世界です。
本を読んでいれば、スマホを通してSNSからのプッシュ通知が届き、音が鳴ります。一瞬ですが、それを見て情報を判断することになり、脳は、ブツブツと途切れた断片的な情報を取り入れてしまうのです。
人間の頭の中の動きは、刺激がトリガーになります。刺激があり、それを情報処理して、自分の中のものと照らし合わせ、価値判断をし、意味づけをして反応するというプロセスが常に起きています。
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