財別に見ると、輸出・輸入差額の減少額がもっとも大きいのが、資本財の中の電気機械であり、484億ドルとなっている。輸出・輸入差額が、662億ドルの黒字から177億ドルの黒字に縮小した。
次が粗原料で、赤字が258億ドル増加した。次が、食料及びその他の直接消費財で、赤字が113億ドル増加した。次が家庭用電気機器で、赤字が53億ドル増加した。
このように、電気機械の黒字の減少が、極めて大きなウエイトを占めているのである。756億ドルのうち、64%を占めている。
資本財としての電気機械は、長らく、日本の主要な輸出品であった。今でも貿易収支は黒字ではあるが、2004年から2021年の間に大きく競争力を失ったのだ。
収支が改善しているのは、資本財の一般機械と輸送機器、それに乗用車だけだ。
なお、以上では、2004年以降を対象とした。図表1に見られるように、2000年代においては、「輸出主導型」と言われた経済成長が実現した。これは、2000年頃の円安政策によって主導されたものであり、アメリカで生じた住宅価格バブルと相まって、自動車を中心として輸出が増大した。しかし、この動きは、2008年に起こったリーマンショックによって終わった。
2022年の貿易赤字が20兆円超となる可能性は高い
2004年から2021年までの変化を要約すれば、次のとおりだ。
電気機械の貿易黒字縮小等によって、日本の貿易収支が756億ドル減少した。これは構造的な変化だ。
それに加え、鉱物性燃料の収支が496億ドル増加した。
以上によって、ドル建ての貿易収支が1252億ドル悪化した。
さらに、円安の影響で、円建ての貿易収支赤字が拡大した。
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