物価高でもまるで平気な大企業に補助は必要ない 直撃している消費者と負担増の零細企業が犠牲者

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物価高
零細企業と消費者が苦しむ中で、大企業はむしろ利益が増えている(写真:Syda-Productions/PIXTA)
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原価の上昇をどれだけ売り上げに転嫁できるかが問題となっている。製造業では、大企業以外は、原価上昇のすべてを売り上げに転嫁できず、粗利益が減少している。零細企業、中小企業の多くが下請け企業であり、価格交渉力がないためだろう。非製造業では、転嫁がかなり進んでいるが、零細企業は悲惨な状態にある。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第80回。

製造業では、大企業以外は、コスト増を転嫁できず

9月18日の本欄(日銀がこの円安を止めないのは大企業が潤うから)で、法人企業統計調査のデータによって、原材料価格の転嫁の状況を調べた。そして、規模の小さい企業ほど転嫁が不十分である状況が見られるとした。

ここで対象としたのは「全産業」であるが、転嫁の可能性は、産業によってかなりの差があると考えられる。そこで以下では、製造業と非製造業を区別して調べてみることとしよう。

製造業について、企業規模別に売り上げと原価の対前年増減額をみると、図表1のとおりだ。

製造業における価格転嫁の状況

(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

資本金10億円未満では、すべての資本金階級について、売り上げ原価の増が、売り上げの増を上回っている。つまり、物価高騰によるコストの増加を売り上げに完全には転嫁できない状態になっている。

資本金5000万円未満の企業では、原価の増加額の半分程度しか売り上げに転嫁できていない。

この結果、粗利益(売り上げ-原価)が減少している。なかでも、資本金2000万円以上~ 5000万円未満の企業の落ち込みが顕著だ。粗利益の減少率は20.3%にもなる(減少率は、表には示していない)。

資本金5000万円未満の企業では、営業利益も経常利益も、対前年比で2桁の減少率になっている(減少率は、表には示していない)。

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