製造業では、大企業以外は、コスト増を転嫁できず
9月18日の本欄(日銀がこの円安を止めないのは大企業が潤うから)で、法人企業統計調査のデータによって、原材料価格の転嫁の状況を調べた。そして、規模の小さい企業ほど転嫁が不十分である状況が見られるとした。
ここで対象としたのは「全産業」であるが、転嫁の可能性は、産業によってかなりの差があると考えられる。そこで以下では、製造業と非製造業を区別して調べてみることとしよう。
製造業について、企業規模別に売り上げと原価の対前年増減額をみると、図表1のとおりだ。
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資本金10億円未満では、すべての資本金階級について、売り上げ原価の増が、売り上げの増を上回っている。つまり、物価高騰によるコストの増加を売り上げに完全には転嫁できない状態になっている。
資本金5000万円未満の企業では、原価の増加額の半分程度しか売り上げに転嫁できていない。
この結果、粗利益(売り上げ-原価)が減少している。なかでも、資本金2000万円以上~ 5000万円未満の企業の落ち込みが顕著だ。粗利益の減少率は20.3%にもなる(減少率は、表には示していない)。
資本金5000万円未満の企業では、営業利益も経常利益も、対前年比で2桁の減少率になっている(減少率は、表には示していない)。
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