消費者は、消費財の価格が上昇することにより負担を負っている。
製造業の零細企業は、原材料費の値上がりを発注者への販売価格に反映させることができないために、負担を負っている。
非製造業の零細企業は、原材料費の値上がりを最終消費者に転嫁することができず、粗利益が減少し、最悪の場合には営業停止に追い込まれている。飲食業の場合に、典型的にこのような現象が生じていると考えられる。
日本では、大企業と零細企業の格差がさまざまな面で見られる。
ここで見たことも、その1つだ。
大企業では、いま史上最高益を記録しているところも多い。
その反面で、零細企業は、これまで見てきたような惨状だ。
これは、円安のもたらす効果が著しく偏っていることを意味する。
日本銀行は、金融緩和を維持し、円安を放置している。金利引き上げを認めると、景気が悪化するというのが、その理由だ。
しかし、これまで述べたことから明らかなように、それは、大企業から見た評価だ。大企業は円安と物価高によって粗利益を増大させ、営業利益や経常利益を増大させている。
しかし、零細企業は、物価高によってすでに苦しい状況に追い込まれているのだ。それを救うには、金融緩和を停止することによって、物価高騰を緩和するしかない。
物価対策に望まれること
物価対策の策定に当たっても、以上で述べた状況を考慮に入れる必要がある。
ガソリン価格抑制のためにすでに補助金が支出されているが、その恩恵は、大企業の社用車にも及ぶ。ここで述べたような状況を考えたとき、それが公平の立場から見て許容されるか否か、大いに疑問だ。
これに加えて、電気料金、ガス料金の値上げ支援策がこれから行われようとしている。その場合、対象は家庭用に限定されるのか? 企業向けはどうなるのか? 仮に企業向けも対象とするのであれば、大企業向けにも補助がなされるような事態は、避ける必要がある。
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