日本人は今の貿易赤字がいかに深刻かを知らない 競争力低下で経常収支が恒常的に赤字となる危険

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冒頭で述べたように、2022年においては、貿易収支の赤字が年間20兆円を超える可能性がある。

こうなる要因を分解すれば、次のようになる。

為替レートとして、6月から7月頃の値、1ドル=135円を用いれば、20兆円は、1481億ドルだ。上で見た「鉱物性燃料を除く貿易収支」の額が2021年と変わらず1309億ドルの黒字であるとすれば、鉱物性燃料の収支差が2790億ドル(=1481億ドル+1309億ドル)になることになる。

鉱物性燃料の収支差がこの程度になったことは、過去にもある。2012年には2890億ドルだった。この時には、原油価格が1バレル100ドル程度だったのである。

2022年末まで1バレル100ドル程度の水準が続けば、貿易収支は1500億ドル程度の赤字となるだろう。

ただ、現在、原油価格は90ドル台にまで値下がりしている。今後も値下がりが続けば、貿易赤字は1500億ドルを下回るだろう。

そうであっても、円安が続けば、円建ての貿易赤字は拡大する。1ドル=150円であれば、1500億ドルは、22.5兆円ということになる。

長期的に経常収支が赤字になる可能性

以上の要因のうち、鉱物性燃料の価格は、低下する可能性がある。しかし、為替レートや構造的要因による変化を元に戻すことは、非常に難しい。

鉱物性燃料を除く貿易収支は黒字だが、下降傾向にあるので、あと数年で黒字が500億ドル程度に縮小してしまうことは十分ありうる。

他方、鉱物性燃料収支額赤字が1600億ドルを超えたことは、過去に何度もある(最近では、2018年:この時は、1バレル60ドルから70ドルだった)。そこで、鉱物性燃料収支額をマイナス1600億ドルとすると、貿易収支は1100億ドル(=1600億-500億ドル)の赤字となる。1ドル=150円であれば、これは16.5兆円だ。

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