日本を100人の島に例えて見えてくる経済の本質 言葉を使い役割分担する中でルールが必要になる
国民年金(基礎年金)の保険料を支払う期間について、「現在の40年間(20歳以上60歳未満)から5年延長し、64歳までの45年間とする方向で、厚生労働省が検討を進めている」と大手メディア各社から報じられています。少子化が進む中で将来受け取る年金の水準を下げないようにするという狙いがあるとみられ、2025年度にも法改正がなされる見込みのようです。
施行されれば、追加される5年間で納める総額は約100万円となります。年金は一体いくらもらえるのか、どのような準備をすればいいのか。国民の不安を払拭するためにも丁寧な説明が必要になります。
今回のような報道があったとき、経済の仕組みを理解していれば瞬時にシミュレーションすることが可能です。一方、経済に詳しくなるために専門的に勉強をする必要はありません。そんな苦手意識を持つ人に読んでもらいたいのが、『東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった!』(サンクチュアリ出版)。日本や世界のお金の動きを「100人の島で起きた出来事」として構成した内容で経済がわかりやすく解説されています。
日本の経済を鳥瞰すると
財務省によれば、国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合である「国民負担率」は2021年度で48.0%とされています。国の歳出が歳入を上回る財政赤字が10%以上あるので、2021年度の国民負担率の実態は60%を超えていることになります。すでに、社会保険料だけでは社会保障支出を抑えることはできません。
この部分を改善しなければ赤字が減ることはありません。しかし、与野党ともに声をあげません。高齢者の負担を増やすと選挙に勝てないからです。
国債は借り換えによって先送りが可能です。借り換えによって財政赤字は増えませんが、これは次の世代に負担を先送りするだけで最終的には国民負担が増加するだけです。2021年度の社会保障給付は約130兆円ありますが、政府予想では2040年に190兆円になることが予想されています。国民負担はいまの60%から70%に増加する計算となります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら