日本を100人の島に例えて見えてくる経済の本質 言葉を使い役割分担する中でルールが必要になる

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極端に言えば、給料の70%が天引きされるのと同義と言ってもいいかもしれません。厚労省『令和2年賃金構造基本統計調査の概況』(2021年3月31日公表)によれば、大卒給与額は22万6000円です。20年前(2000年)の19万6900円から14%増加したに過ぎません。

2040年の大卒給与額を、2020年の14%増加のシミュレーションで試算すると、25万7000円になります。このうち、もしも70%が天引きされたとしたら、手取りは8万円弱となる計算です。極端なことを言っているかもしれませんが、このような時代がやってくる可能性すらあるということです。政府はうまく給付金等でごまかすかもしれませんが、それによって借金は確実に増えていきます。

最近、報道されたニュースを筆者なりに簡単に解説しましたが、経済に苦手意識をもつ人はこの程度の文章でもアレルギーを感じると思います。本来、経済はすべての国民が理解することが望ましいですが、わかりやすく説明するにはどうしたらいいのでしょうか。

経済を理解するとはどういうことか

『東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった!』では、100人が無人島に流れ着き暮らしを始めたところからストーリーが始まります。登場してくる100人の島は、とある資本主義に基づく民主政治の法治国家のことです。それを書籍用にデフォルメして、お金と生活にフォーカスしています。時代の流れは経済発展の実際とは紐づいていませんが単純に構成されています。

まず、なにが生活を決定していくのでしょうか。それは言葉です。人は「家をつくる」「水を汲みにいく」「狩猟で獲物を捕らえる」「見張り番をする」など、言葉を使いながら役割分担をおこなうからです。言葉がなければ役割分担や指示をすることはできません。

さらに、人は言葉を使うことで知識を継承することができます。「鉄の精製方法」「家のつくり方」「井戸の掘り方」などの必要な技術は阿吽の呼吸よりも言葉にしたほうが伝わりやすくなります。次の世代は、その技術をベースとして、さらに新しい技術を生み出しながら発展させることが可能です。

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