巷で話題、「公的年金をめぐる2つの提案」の背景 2024年財政検証は出生数減少で一段と厳しく

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岸田文雄首相は雇われている人であれば原則として厚生年金に加入することを目指している(写真:Bloomberg)

このところ、公的年金をめぐる新たな提案がちまたの話題となっている。「国民年金保険料の納付期間の5年延長」や「国民年金の厚生年金による穴埋め」である。

なぜこんな話題が、今取り沙汰されるのか。

それは、2024年央に予定されている年金の「財政検証」(将来の公的年金の財政見通し、5年に1度実施)を見据えた議論が、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会年金部会で10月25日から始まったことによる。その会合の開催前に、観測記事などが出たことから、にわかに世間の注目を集めた。ただ、これらの「新たな提案」は、以前にも提起されたことがあるものだから、新しいわけではない。

大幅な給付低下が見込まれる基礎年金を「救済」

この連載の過去記事はこちら

「国民年金の厚生年金による穴埋め」ともいわれる提案は、東洋経済オンラインの本連載の記事「国民年金・厚生年金『積立金統合案』、何が問題か」ですでに言及したものである。

そもそも、従業員が101人以上の企業に勤務し、週20時間以上働き、2カ月以上の雇用の見込みがある、などの要件を満たした被用者は、厚生年金に加入して老後に基礎年金と所得比例年金の両方を受けることができる。その要件を満たさない人は厚生年金には加入できず、国民年金に入って老後に基礎年金の給付のみを受けることができる。

ところが、現行の公的年金制度のままでは、基礎年金の給付は将来大きく低下することが見込まれることから、基礎年金給付が目減りしないように、厚生年金が国民年金を「救済」するのが、この案の肝である。

今ある厚生年金の積立金と国民年金の積立金とを文字どおり統合するというわけではないのだが、厚生年金の積立金のほうが圧倒的に多いため、基礎年金給付の財源に厚生年金の積立金を現行制度が想定しているよりも多く拠出してもらうことで、基礎年金の給付が目減りしないようにする、という仕組みだ。

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