国民年金・厚生年金「積立金統合案」、何が問題か

狙いは年金底上げ、統合案浮上の深刻事情

厚生労働省は厚生年金と国民年金の積立金の統合を検討している(写真:マハロ/PIXTA)

厚生労働省が厚生年金と国民年金の積立金の統合を検討していることが報じられている。今は別々に管理されている積立金を統合することで、将来大きく下がる見込みである国民年金の給付水準の底上げを図るのが、狙いの1つである。

積立金の統合はいったい何を意味するだろうか。

簡単にいえば、厚生年金が国民年金を救済する案である。厚生年金の加入者は正規社員が多く、年金を多く給付できて財政的に恵まれており、非正規雇用者が多く加入する国民年金の給付が今後大きく減るのを防ぐため、助けてあげてほしいというわけだ。

厚生年金の加入者が国民年金の加入者を「救済」

わが国の公的年金制度は「2階建て」と言われ、全員加入している基礎年金(1階部分)と、正規雇用の民間企業従業員や公務員が加入している厚生年金(所得比例の2階部分)から成る。自営業者や非正規雇用者は厚生年金には加入せず、基礎年金部分(国民年金)だけだ。

したがって、国民年金に加入している人は厚生年金の保険料を払うこともない。厚生年金の積立金は、厚生年金加入者が払った保険料を原資としている。

つまり、冒頭の案は、厚生年金保険料によって積み立てられた厚生年金の積立金の一部を、厚生年金保険料を払っていない国民年金加入者の給付に充てるということになる。だから、厚生年金が国民年金を「救済」する案なのである。

しかし、厚生年金加入者からすれば、老後に備えて自ら払った保険料を積み立てていたのに、関係のない国民年金加入者の給付に流用されては、自分の保険料で保険料を払っていない人をなぜ助けなければならないのかと思うだろう。それでは保険としての制度の信頼性が失われてしまう。

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