相続税・贈与税の「一体化」改正はどこへ行く? 政府議論が始動、注目集まる贈与税の基礎控除

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注目の高い相続税・贈与税の税制改革議論が、年末の決定に向け本格化してきた(写真・CORA/PIXTA)

政府税制調査会(政府税調)は、相続税・贈与税に関する専門家会合を新たに設け、10月5日に初会合を開催した。資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築などに向けた相続税・贈与税のあり方について、今後の同調査会総会における議論の素材を整理することが狙いである。

税制を改める議論を提起すると、すぐに増税を画策していると見る向きがあるが、ここではそうではない。

税制改正のポイントは何か

これまで、政府税調は、2019年9月26日に取りまとめた答申「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」において、相続税と贈与税に関連して、資産再分配機能の適切な確保と資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築の必要性を問うた。

この背景には、高齢化・長寿化の進展に伴い、わが国の家計の資産は高齢世代に偏在するという実態がある。80代以上の高齢者から、その子世代が50代以降になってから相続するという「老老相続」が増加しており、消費意欲の高い若年世代への資産移転が、相続を通じては進みにくくなっている。

他方、贈与税については、相続税負担の回避を防止する観点から高い税率が設定されているため、生前贈与に対して一定の抑制が働いているとの認識がある。

そのため、税制が高齢世代から若年世代への資産移転をできるだけ邪魔しないよう、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築を志向する機運が高まった。

資産移転の時期の選択に中立的な税制とは、どういう意味か。有り体な言い方をすれば、相続税と贈与税の「一体化」である。現行税制では、同じ資産を一度に譲渡すると、生前贈与として贈与税を課されるが、そのほうが相続して相続税を課されるよりも税負担が重くなる。

それを、通算して譲り受けた金額が同じならば、タイミングによらず、生前贈与でも死後相続でもトータルの税負担が変わらないように税制を改める。相続税と贈与税で、税制上の根本的な差異を設けないようにすることを意図している。

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