まずは年金の仕組みを理解する
「年金制度はいずれ破綻する」とか「国の年金は当てにならない」などと言われることがありますが、これらに根拠はありません。
日本の年金制度は、「賦課方式」といって、現役世代の払っている年金保険料を、現在の高齢者が受け取る仕組みで、現役世代が高齢世代に仕送りする仕組みです。
現役世代が働き、厚生年金保険料を納め続ける限り、年金制度は維持され、高齢世代が受給し続けられるようになっています。
また、国は年金制度が破綻しないようさまざまな対策を講じています。具体的には、マクロ経済スライド(賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する制度)の導入や、年金積立金の確保、税金の投入、受給開始年齢の引き下げなどを行っています。
このように、年金制度は国が運営管理している社会保障制度であるため、そう簡単には破綻しないはずです。
日本では、厚生年金保険料の半分は事業主が負担します。また、国民年金の半分は税金で賄われています。そのため、年金の額は払った額よりもかなり多くなります。
例えば、厚労省の「2014年財務検証」によると、厚生年金(国民年金を含む)だと、現在45歳の人は払った保険料の2.4倍(国民年金で1.5倍)の金額がもらえます。同様に、35歳の人は払った保険料の2.3倍(国民年金で1.5倍)の金額がもらえます。ですから、国の年金があてにならないとはいえません。
ただし、将来的に受給額が減少することは覚悟しておく必要があります。厚労省「2019年財務検証」によると、中間的な経済ケースで「2047年度に所得代替率(年金を受け取り始める時点の65歳における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合か、を示すもの)が61.7%から50.8%になる」といわれています。
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