父は「偏差値35なのに東大志望」の僕をこう叱った 3回目の「東大合格発表」前日に大げんかした訳

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そのとき僕が感じていたのはきっと、罪悪感だったのだと思います。勉強は嫌いだし、無理やり勉強を押しつけられるのは嫌だけど、でも僕はそれ以上に、父親を傷つけたくはなかったのです。それなのに傷つけてしまったから、僕は父親に対して申し訳ないと感じて、質問に行くようになったのだと思います。

僕が質問に行くと、父親は今までとなんにも変わらず、「これはこういうことだぞ」と教えてくれたわけですが、なぜかそのときの僕は、以前までと違って、父親からの教えが自分のものになっているような感覚がありました。

無理やり押しつけられていた勉強ではなく、そのときは、僕は学びたいと思って父親から勉強を教わるようになったわけです。

東大を目指してから、再び関係が悪化

その後、僕はひょんなことから、東大を目指すことになります。が、しかし受験期、僕はかなり父親と険悪になってしまいました。

それはなぜかというと、父親が結果ばかりを見てくるような感覚があったからです。単身赴任の父親にたまに会うと、模試の結果とか、テストの点数とか、そういうものを見せなければならないわけですが、そのときにいろいろコメントをされるわけです。「この点数で大丈夫なのか」とか「英語が全然駄目じゃないか」とか。

それに対して、僕は反発しました。「そんなことは僕だってわかっているんだ!」と。僕だって頑張っても結果が出なくて苦しんでいるのに、それを指摘されても、なんの解決にもならないじゃないか、と。

そもそも父親は単身赴任で、普段の僕の勉強の様子を知らないわけです。それなのに「結果」だけを見てああだこうだと言われると、すごく反発したくなってしまうわけです。

極め付きが、2浪した3回目の合格発表の前日でした。

父親は、単身赴任なのにわざわざその日に合わせて家に帰って来て、帰って来たと思ったら僕にある物を渡してきたのです。

それは、「東大受験のデータをまとめたファイル」でした。

例年の試験の平均点は何点で、今年の各科目の難易度はどれくらいで、合格ラインはどれくらいの点数になりそうなのか、予備校が出しているデータをもとに事細かくまとめられたファイルでした。わざわざその日に合わせて、自ら作ったのだそうです。

それを僕に差し出して、「今から、お前が受かっているか、落ちているか確認するぞ!」と言うのです。

これに僕はめちゃくちゃ怒ったんですよね。

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