習近平は「台湾統一」攻勢を強めても急がない 台湾への武力行使をできない中国の本当の事情

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2022年10月22日、中国共産党大会最終日の習近平氏(写真・2022 Bloomberg Finance LP)

中国共産党の第20回党大会(2022年10月16~22日)は、習近平総書記の3期目続投を決め「習一強体制」をいっそう強固にした。台湾問題で習氏は「完全な統一は必ず実現できる」と台湾統一を強調した。この発言をとらえ「2024年までに台湾に侵攻する」など、相変わらず台湾有事を煽る声もある。しかし、習氏が台湾統一を急ぐ主体的・客観的条件は揃っていない。統一攻勢は強めるが急いではいない、ということだ。

米台への警告・威嚇が狙い

台湾問題が大会でどう表現されたかを振り返ってみよう。習氏は大会初日の党活動報告で次のように述べた。

「台湾問題の解決は中国人自身のことであり中国人自身が決めるべきだ。われわれは最大の誠意と最大の努力を尽くし、平和的統一の未来を勝ち取るが、決して武力行使の放棄を約束せず、あらゆる必要な措置をとる選択肢を残す。その対象は外部勢力の干渉と、ごく少数の“台独”分裂勢力と分裂活動に向けたものであり、広範な台湾同胞に向けたものでは決してない。祖国の完全統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」

メディアは「武力放棄せず」を大見出しの1つにとったが、武力行使を否定しない方針は、2005年成立の「反国家分裂法」が武力行使の条件を規定して以来、ことあるごとに言及してきた。2021年7月の中国共産党誕生100年演説をはじめ、同年10月の「歴史決議」、2022年8月の「台湾白書」でも同じように触れられており、決して目新しくはない。ここから政策変更を窺うことは難しい。

確かに2017年の第19回党大会にはなかった表現だが、当時は台湾問題が現在ほど緊張してはいなかった。今回は台湾問題が米中対立の主要争点になっていること、中国が台湾問題で「主要敵」を「外部勢力」(アメリカを指す)と蔡英文当局を意味する「“台独”分裂勢力」の二者に絞る中、台湾問題で「挑発・干渉する」米台への警告と威嚇が狙いだろう。

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