「以前、私のチームでは業務を1日休止して、戦略を話し合っていたのですが、1回2時間半の会議をくり返すように変更しました。議論する内容もはっきりさせるようにしました。事前に資料を配布するようにし、誰もが議題をよく理解したうえで会議に臨むようにしたのです。これで会議の時間が短くなり、目的も明確になりました。このやり方は本当にうまくいっています」
仕事のあり方を設計し直したいと考える企業幹部の多くは、機動性と適応力を失わないように、無駄を削ぎ落とした働き方を継続するための慣行やプロセスを導入している。組織階層を大幅に減らしたり、機動性の高いワーキンググループを設けたり、会議の数を制限したりしている場合が多い。
コロナ禍に、多くの企業幹部は、大半の社員に柔軟な働き方を導入できることに気づき始めた。富士通で働くヒロマサさんという人物は、在宅勤務が始まって数カ月もしないうちに、柔軟性の高い働き方の利点が見えてきたという。
「3年前、在宅勤務をしているのは女性社員だけでした。その多くは、家庭で育児や介護の役割を担っている人たちでした。今は違います。現在の新しい状況の下、誰もが自宅で働けるようになりました。いつでもどこでも働けるようになったことで、社外の人たち、ほかの会社の人たちとの協働もしやすくなりました」
コロナ禍でEメールのやりとりが8%増
イギリスの広告会社「S4キャピタル」の創業者であるマーティン・ソレルの言葉は、多くの企業リーダーたちの思いを代弁している。ソレルは、在宅勤務により「活力が湧いてきた」と言い、これをきっかけに自分の働き方が「恒久的に変わる」と思うと述べた。その認識に基づいて、一部のオフィスを閉鎖することを決めて、賃貸契約を打ち切り始めたという。
「年間に3500万ポンドをオフィス賃料に費やしてきました。でも、オフィスに莫大な資金を拠出するより、もっと社員に投資したいと思うようになりました」
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