私が企業幹部たちに話を聞くと、いつも決まって話題に上る不満がある。社員が新しいスキル、とくにデジタルスキルを学ぶのが遅すぎるというのだ。しかし、新型コロナのパンデミックにおいて私たちは誰もが否応なく、働き方、学び方、買い物の仕方、社交の仕方に関して、デジタルネイティブの世代のように行動せざるをえなくなった。
インドのムンバイに本社を置くテクノロジー企業タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)のイギリス部門で人事責任者を務めるラムクマル・チャンドラセカランが私に語った話によると、2020年前半から2021年にかけて、同社イギリス部門で働く社員がオンライン学習に費やした時間はなんと1.6倍に増えたとのことだ。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、パンデミックを経験したことにより、さまざまな新しいテクノロジーの採用が2年分加速したと述べている。
仕事のリモート化とバーチャル化が進めば、スケジュール管理、プロジェクトマネジメント、コラボレーションなどへのデジタルテクノロジーの活用が当たり前になる。そうしたプロセスのイノベーションを実現するためには、今、育まれつつあるデジタルスキルが欠かせない。
柔軟な働き方は適応力と機動性を高める
ある通信会社のCEOは新型コロナの感染拡大が始まったころ、「私たちは官僚主義を放り捨て、4日間で6000人の社員を在宅勤務に移行させました」と、私に語った。別のCEOはこう述べた。
「すべてがきわめて円滑に運びました。時計の針が進むスピードが加速したのです。ものごとの優先順位を遠慮なく判断し、それまでやっていたことの20%をただちに放棄しました。やるべきことを整理したのです」
ボーダフォンのアン・シーハンも次のように述べている。
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