「外資企業では役立たず」な日本人エリートの盲点 「ヘッドハンター×大学教授」転職対談:後編
このように、外資系企業の特性を知らずに転職してしまうと、思わぬ失敗に終わってしまうことがあるように思うのですが、植田さんは、これから外資に転職しようと考えている人に、「これは知っておいたほうがいい」と言いたいアドバイスはありますか?
「結果を出せるイエスマン」が評価される
植田:アメリカの企業の場合は、組織が一般に想像されるより、軍隊的で命令系統が非常にハッキリしていることは、事前に知っておいたほうがいいと思います。
アメリカの企業では、採用を直属の上司が行います。一方、日本企業の場合は、人事権は人事部が握っています。しかも人事部の権限が大きい会社が多いので、仮に配属された部署の直属の上司とソリが合わなかったとしても、2~3年たてば上司または本人が他部署に異動になることが少なくありません。
だから、上司に対する不満を持っていたとしても、陰でブツブツと不満を言いながらも我慢し続けていれば、会社にいられなくなることは滅多にありません。
一方、アメリカ企業の場合、人事権も直属の上司が握っているので、上司の命令は絶対で、かつ、期待された結果が出せないとクビを切られることにもなりかねません。
妹尾:たしかに。日本人は、外資系企業だと上司と部下の立場が対等で、上司と意見が合わないときには反論しても大丈夫と思っている人が多いようですが、それって完全に誤解ですよね。
私は外資のほうが日本企業よりも、圧倒的にイエスマンが多い印象を持っています。何か命令を受けたら、「Yes, Great! やりましょう」と即座に反応する人が多いのです。
とはいえ、現実的に考えると無理な要求が課されることもあります。その際に、「それは無理です」とストレートに拒絶したり、「それはちょっと……」と戸惑うようではダメなんです。
とりあえず「Yes, Great!」と即座に答えた後に、「期待されている成果を出すために必要なリソース(時間やコスト)を用意してほしい」と要求したりして、より現実的な方向にイメージをつくり上げていくような高度なテクニックが求められます。重要なポイントは、あくまでも前向きなスタンスを示すということなのです。
結果として、外資で働くと建前と本音の使い分けがものすごく鍛えられるのです。こんなことも日本企業にいたのでは経験できない、外資ならではの修羅場ですね。