同調圧力に打ち勝つことについて、ショーンはこう話してくれた。
トヨタビッグエアーで起きたこと
「トヨタビッグエアーっていう大会に呼ばれて日本に行ったとき、ものすごいことがあったんだ。
僕はワイルドカードエントリーでそこに参加していた。旅費は自腹で、母親が一緒に来てくれた。ホテル代、食事代、その他の費用も全部こちら持ちだった。
他の選手は、みんな招待されてたんだけどね[もちろん飛行機代やホテル代込みでね]。
彼らは[毎日出場するごとに]、出演料も支払ってもらっていたし、5万ドルの優勝賞金だって用意されていたんだ」
「みんなその夜は街へ繰り出して、狂ったようにはじけてた。僕はまだ子どもだったから、母とホテルでおとなしくしてたけどね。彼らは二日酔いのまま、イベントに顔を出すとこんな調子で言うんだ。
『ジャンプはまずいな』―彼らはスノーボーダーだからね―『イケてないな。それに今日は競争する気分じゃないし。とりあえず参加して、お金はみんなで山分けしようぜ』ってね。
とっさに頭の中で計算したよ。『ちょっと待ってよ。それじゃ飛行機代にもならないじゃないか』。
だからこう言ったんだ。『僕はそれにはのらない。お金を分けるのは嫌だ』ってね」
「彼らは僕をじっと見てこう言った。『そうか、お前の頭の中は金だけか……』。僕は反論せずに座ってた。
『今日はすごく調子がいいんだ。だからそんなことはしたくない……』。
彼らのライダー然とした真顔が大きく迫ってきて、僕の目に浮かぶドルマークを引きずり出そうとしていた。僕はそのときまだ15歳だった。
脅迫みたいなものだよね。憧れの存在だった人たちが、今、僕にジャブをかましてる。でも、勝ったのは僕だった……。5万ドルの賞金と車を手に入れたんだ。
そのときの僕はこんな感じだったよ。『信じられない、どうなってるんだ?』」
ティム:「そういった同調圧力と向き合える、強さの源って一体なんだろう?」
「15歳の少年が、しかも憧れの存在から標的にされるような、特殊な状況にいたのに。普通じゃ考えられない。その強さは両親ゆずり? それともあなたにもともと備わっていたもの? 他に何か答えはある?」
ショーン:「練習にめいっぱい打ち込んでたし、時間だってつぎ込んでたんだよ。自分は最高のライダーだって思ってた。
それにあの人たちは、お金を出してもらってあの場にいた……。こう思ってたことを覚えてるよ。今日は僕が主役になるんだ。あいつらには邪魔させないってね。
そして、その目標に向かって進んでいった。いつでもこんな風に目標を決めてるんだ。毎シーズン、きっちり目標を決めている……。それも2つ。1つはものすごく真面目なもの、もう1つは笑えてくだらないもの」
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