「創価学会」が巨大教団となり得た「超戦略」の中身 なぜ韓国では「新宗教」が伸びなかったのか

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ではなぜ韓国では、創価学会のような新宗教ではなく、キリスト教が伸びたのでしょうか。

韓国にも仏教が伝来しました。なにしろ、日本に正式に仏教を持ちこんだのは、朝鮮半島の百済であったとされているくらいですから。

しかし、儒教の影響が強く、韓流ドラマの時代劇の舞台となる朝鮮王朝(李氏朝鮮)では、皇帝が儒教を信仰し、仏教を排斥する政策をとったことで、仏教は衰えていくことになりました。

日本でも、明治に時代が変わるときに、廃仏毀釈という事態が起こりました。けれどもそれは一時期のことに終わり、一般の国民のあいだには仏教の信仰が定着したままの状態が続きました。そこが韓国とは事情が異なるのです。

韓国のキリスト教は土着のシャーマニズムと融合

日本の新宗教の多くは、創価学会や立正佼成会、霊友会のように、日蓮系・法華系の仏教教団です。仏教が根づいているからこそ、こうした仏教系の新宗教が広がったと言えます。この3つの教団は、それぞれが独自な形で仏壇を重視しています。日蓮系・法華系の新宗教は、仏壇を祀る運動でもあるのです。

韓国では、仏教の力が弱くなっていたため、日本のような形にはなりませんでした。その代わりにキリスト教が拡大していくことになったのです。ただし、韓国の特徴は、キリスト教が土着のシャーマニズムと融合したことにあります。

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ですから、韓国のキリスト教は、日本人が考えるキリスト教とはかなり趣が違います。明治時代以降、日本でキリスト教を受容したのは、上層階級や知識人でした。それによって、キリスト教は洗練された宗教というイメージを確立することに成功します。しかし、庶民層にまでは広がることがなく、信者も増えませんでした。

もちろん、韓国でもオーソドックスな信仰を持つキリスト教徒も生まれました。けれども、現世利益を追い求める信者や、シャーマンのような振る舞いに及ぶ牧師が多かったのも事実です。

この点については、崔吉城氏の『キリスト教とシャーマニズム―なぜ韓国にはクリスチャンが多いのか』(ちくま新書)に述べられています。少し読みにくい本ですが、いかに韓国のキリスト教にシャーマニズムが影響を与えているかが理解できます。

島田 裕巳 宗教学者、作家

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しまだ ひろみ / Hiromi Shimada

1953年東京都生まれ。東京女子大学と東京通信大学の非常勤講師。1976年東京大学文学部宗教学科卒業。1984年同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任。著書に『創価学会』(新潮新書)、『戦後日本の宗教史』(筑摩選書)などがある。

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