「創価学会」が巨大教団となり得た「超戦略」の中身 なぜ韓国では「新宗教」が伸びなかったのか

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祈る女性
高度経済成長の時代から急速に拡大していった創価学会。「横線」でつながるという、地政学的な戦略をとったことが要因だと島田氏は分析する(写真:KY/PIXTA)
今、宗教のあり方が問われている。
「宗教とはネットワーク」だと話すのは、宗教学者の島田裕巳氏だ。信者はネットワークで結ばれており、その広がりによって、宗教は確固たる基盤を持つようになった。そしてその「宗教の地政学」は、歴史のなかで、さまざまな宗教対立や衝突によって変化してきた。特に、経済成長と宗教の興廃は密接に関係している。日本の新宗教のなかでも巨大勢力となり、政治に多大な影響力をもつ創価学会も、経済成長によって地政学的に拡大してきた宗教の一つだ。
新宗教が拡大をなし得てきた、その戦略の中身について、島田氏の新著『宗教の地政学』から一部抜粋・再構成して、解説していく。

安倍晋三元首相の狙撃事件をきっかけに、統一教会のことが取り上げられ、自民党の議員などとの関係がさまざまに指摘され、問題視されています。

統一教会自体は、それほど多くの信者を抱えているわけではありません。おそらく、数万人のレベルでしょう。

統一教会の戦略は…

しかし、この教団にはネットワークを広げていく確固とした戦略があったことになります。関連する団体をいくつも立ち上げ、それぞれの団体が自民党の議員に接触し、関係を築き上げていったのです。

それによって、自分たちの活動を社会的に認知させようと試みたのですが、活動するための資金集めに大きな問題がありました。

霊感商法や信者の多額献金に頼るというやり方では、必ずや社会の批判にさらされることになります。それでも、統一教会や関連団体が、反共運動などとして社会的に意味を持っていると判断されれば、それを擁護する声も上がります。

しかし、社会の状況は、統一教会が日本に進出した1960年代とは大きく変わってしまいました。あるいは、合同結婚式やマインド・コントロール、霊感商法で批判され、全国で初めて統一教会の霊感商法への関与と賠償責任が認められた1993年とも今は違うようです。現在では、ネットワークを政治の世界に広げたこと自体が、問題視されるようになったのです。

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