「創価学会」が巨大教団となり得た「超戦略」の中身 なぜ韓国では「新宗教」が伸びなかったのか

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重要なのは、経済成長が続くあいだは、将来において豊かになれるという夢を抱くことができた点です。よく「苦しいときの神頼み」と言われますが、私は、苦しいから宗教に頼るのではなく、将来への希望があるから信仰を持つようになるのだと考えています。強い信仰を持ち、勤勉に働けば、豊かさを実現する可能性が開かれてくるからです。

これによって新宗教は巨大教団へと発展し、特に都市部を拠点とすることで、日本における宗教の地政学を大きく変えました。既成宗教は、こうした新宗教の脅威にさらされ、対策を講じなければならなくなりました。

新宗教は、地方都市にも広がりました。そうした広がりの結果、日本で大きな勢力を持つようになった新宗教の一つが創価学会です。創価学会などは政治の世界にも進出していきましたから、各地で既成宗教と新宗教とが対立する事態が生まれました。

「横線」戦略が教団拡大に貢献した

創価学会が勢力を拡大していくなかで重要だったことは政治の世界に進出したことです。当初は、「国立戒壇」の建立をめざしていましたが、これは創価学会が密接に関連した日蓮正宗を国教にするための試みであると解釈されました。創価学会の側は、国教にしようとする試みではないとしましたが、では国立戒壇とは何なのか、それは必ずしも明確ではありませんでした。

むしろ、創価学会が政界に進出した最大の目的は、選挙活動に会員を駆り立てることで、組織の引き締めをめざすことにありました。政界進出を主導した当時の会長、戸田城聖は、選挙になると会員の目の色が変わるので、引き締めに役立つと述べていました。

重要なことは、政界進出をはかる際に、創価学会が組織のあり方を大きく変えたことです。これは、一般の新宗教に見られることですが、信仰は「縦線」でつながる形をとっています。ある人間が、誰かの紹介で入信した場合、その人間は紹介者の属していた支部に所属することになるのです。となると、同じ地域にいる他の信者と所属する支部が異なることになってしまいます。

これは、信仰がどのように受け継がれてきたのかが重要だからです。自分を信仰に導いた人と一緒に活動したい。人はそのように考えるわけです。創価学会でも、当初は、この縦線で会員同士がつながるようになっていました。

ところが、選挙ということになると、地域が重要になります。縦線では具合が悪いわけで、同じ地域に住む会員同士が同じ支部に属していた方が好ましいことになります。そこで、創価学会では「横線」に転換したのでした。地政学的な戦略の大きな転換です。

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