誤解多い「日本の中小企業の生産性低い」真の理由 労働生産性は「大企業の半分以下」にとどまる

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仕事をする作業服の男性
なぜ日本の中小企業の生産性は低いのでしょうか(写真:Luce/PIXTA)
日本の経済成長を議論するうえで、「生産性の低さ」は大きな課題となっている。労働生産性を見ると、主要先進7カ国(G7)で最も低く、OECDでも23位にとどまる。
ただ、生産性に対する誤解は少なくない。「生産性が低い」と感じる人がいる一方で、「こんなに一生懸命働いていて、もうこれ以上働けないくらいなのに、生産性が低いといわれても……」と思う人もいる。実は「企業レベルの生産性向上が進んでも、国レベルの労働生産性向上には必ずしもつながらない部分がある」と指摘するのが、日本生産性本部の木内康裕・上席研究員だ。
はたして生産性とは何なのか、生産性を向上させるためにはどうすればいいのか。生産性の謎を解く連載の第2回は、生産性向上の議論をする際、近年の大きなテーマの1つとなっている「生産性が低い中小企業」の問題について木内氏が解説する。

日本生産性本部「労働生産性の国際比較2021」によると、日本の労働生産性は49.5ドル(5086円)で、OECD加盟38カ国の中で23位にとどまっており、主要7カ国(G7)で最下位の状況が続いている。

これは、各国で1時間働いたときに生み出された付加価値額(=GDP)を比較したものである。そのとき、各国の物価水準の違いを調整する形でドルに換算する(購買力平価換算)。企業業績のように実際にいくら稼いだかをそのまま実勢レートでドルに換算するものとは少し異なる。いくつかの経済統計を基にした、いわば経済学的な手法で測定したものだ。

日本と同水準の国に西欧諸国がほとんどなく、リトアニアやチェコ、エストニアあたりになっていることはやや衝撃的ですらある。

多くの要因が複合的に左右する根が深い問題

何が原因なのかというと、前回(『誤解がかなり多い「日本の生産性が低い」真の理由』)もふれたが、無駄な業務が多いとか、仕事が効率的でない、業務プロセスが旧態依然のままだといったことが働く人からはよく挙げられる。

マクロレベルでみると、①イノベーションがあまり起きなくなった(起こせなくなった)こと、②人材や設備に対する投資が減っていること、③これまでのデフレで低価格化競争が進み、諸外国と同じようなモノやサービスを提供しても、受け取れる粗利(≒付加価値)が少なくなっていること、④企業の新規開業や統廃合が少ないこと、⑤労働人口の多いサービス産業の生産性が諸外国より低いこと、などがよく指摘される。

つまり、働く人々の実感から学術研究に基づくものまで実に多くの要因が挙げられており、それがおそらく複合的に作用していて非常に根が深い問題になっているということだ。

そのためか、日本の生産性向上に向けた提案も、多くの人が多岐にわたる観点から行っている。主なテーマについては、この連載でも次回以降詳しく述べていく予定だが、ここでは少し視点を変えて、「あまり儲かっていない」中小企業の問題についてふれてみたい。

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