誤解がかなり多い「日本の生産性が低い」真の理由 企業の生産性=国の生産性とは必ずしもならない

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残業をしているビジネスマン
頑張って働いているはずなのに、なぜ日本は生産性が低いのか。謎に迫ります(写真:8x10/PIXTA)
「日本は生産性が低い」と指摘されるようになって久しい。実際、労働生産性を見ると、主要先進7カ国(G7)では最下位。OECDでも23位と衝撃的に低い。
実際、「生産性が低い」と感じている人は少なくない。日本生産性本部の行ったアンケート調査でも、働き方と業務プロセスの中で労働生産性が低い原因として最も多く挙げられているのが「無駄な作業・業務が多い」ことであった。ついで、「会社の価値観や仕事のやり方が以前と変わっていない」ことが多かった。
一方で「こんなに一生懸命働いていて、もうこれ以上働けないくらいなのに、生産性が低いと言われても……」と思う人もいるだろう。「こんなに働いているのに生産性が低いと言われると気分が悪い」といった反応も少なくない。「生産性が低い」と経営者から言われたりすると、働いている人はあまり効率的に成果を出せていない、あるいは怠けていると言われているように感じてしまうためだ。
実は、「例えば、人手不足に悩む業界での自動化・省人化といった側面では企業レベルの生産性向上が着実に進んでいる。ただ誤解を招いているのは企業レベルの生産性向上が進んでも、国レベルの労働生産性向上には必ずしもつながらない部分がある」と指摘するのが日本生産性本部の木内康裕・上席研究員だ。
はたして生産性とは何なのか、生産性を向上させるにはどうすればいいのか。生産性の謎を解く連載の第1回は、「生産性に対する誤解」について木内氏が解説する。

非常に幅広い使われ方をする「生産性」

「生産性」という言葉がよく使われるようになり、いろいろな人が「生産性」を用いてさまざまな文章を発表している。これは、「生産性」を冠する財団で各種分析や調査研究に携わる筆者としては、本当に素晴らしいことだと思っている。

一方で、生産性が非常に幅広い使われ方をしているため、生産性という指標がわかるようでわからないものになっているという意見も聞こえてくる。生産性は、何らかの形で計算された数値でしかないが、定義に幅があるため、意味づけや評価もさまざまだ。

そのため、生産性に対して批判的な意見もある。「日本の生産性が低い」といわれることに対する反感もあれば、目に見えにくい効率や能率といったものが生産性として数値化されると誰かと比較する物差しにもなりかねないと嫌悪感を持つようなケースもある。労働生産性を人員削減や合理化などのツールとしてネガティブに捉える人もいる。

そもそも、「生産性」とはどういう指標なのだろうか。

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