今の若者たちはなぜ「絶対に失敗したくない」のか 自己責任論が生んだ「ゼロリスク世代」の未来像

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悩んでいる男子学生
「失敗したくない」いい子症候群の若者たち。人気のあるものに飛びつき共有するその心理とは(写真:プラナ/PIXTA)
映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』と『先生、どうか皆の前でほめないで下さい――いい子症候群の若者たち』。
2022年の「2大『若者論』本」との評価も高い2冊は、異なるテーマを扱いながらも、現代日本人の抱える問題に、別の側面から切り込んでいる。2022年10月3日に本屋B&Bが開催したトークイベントで、著者2人が大いに語り合った。
(本記事は同イベント「稲田豊史×金間大介『絶対に失敗したくない日本人のエンタメ消費論』」の内容を再構成しました)

思考停止の時代

稲田豊史(以下、稲田):金間さんの本を読んで、私の本と同じことを別の言い方で表現されていると思いました。その1つが「失敗したくない」というキーワードです。今の若者はみんな失敗したくない気持ちがすごく強いですよね。それで思い浮かぶのが若者のTwitter離れです。今のTwitterって、罪に対して罰が大きすぎるんですよ。

『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

金間大介(以下、金間):と言うと?

稲田:ちょっとした失言や誤認ツイートが、見知らぬ人たちからの集中砲火を浴びるじゃないですか。大学生が軽い気持ちで発した理想論じみたつぶやきに対してすら、いい大人のインフルエンサーが引用リプで冷笑する。ほんのちょっとした“失敗”なのに、大きなダメージを食らうわけです。

金間:失敗を怖がる理由は多岐にわたると思うのですが、例えば世界的な意識調査の中に「見知らぬ人を助けたことがあるか」という設問があって、その結果として、日本はYesと答えた割合が125カ国中125位なんです。世界一、知らない人を助けない国ニッポンなんですよ。「失敗したのは本人のせいだから助けることはない」という考え方が、この結果に含まれていると思います。

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