「円安」抑止のために今こそ日本がとるべき手段 還流促す「レパトリ減税」で米利下げまで時間稼ぎ
ドル円相場は一時1ドル=160円台まで円安が進んだのち、為替介入とみられる円の急騰が続いた。円安地合いのなか、介入と並ぶ「最後の砦」への注目が高まっている。かねて提唱してきた唐鎌氏が解説する。
長引く円安の処方箋として、日本企業が保有する外貨を国内へ送金する際の法人税を減免する、いわゆるレパトリ減税案(レパトリエーション=本国送還)が各所で取りざたされている。
一部報道によれば、政府・与党が6月にまとめる経済・財政政策の基本方針「骨太の方針」に盛り込まれる可能性があるという。
本件については1年半以上前の本コラムへの寄稿「円安抑止へ『レパトリ減税』という真っ当な処方箋 投機でなく需給にアプローチする手段が必要だ」で詳しく議論した経緯がある。各所の勉強会などでも紹介させていただいたこともあり、照会がにわかに増えているため、今一度おさらいしておきたい。
日本企業の海外内部留保は過去最大
円相場の需給改善を志向するにあたって企業部門が保有する外貨は、政府の抱える外貨(≒外貨準備)と並んで使える「最後の砦」であり、為政者の目に留まるのは自然な展開である。
2021年度の「海外事業活動基本調査」によれば日本企業の海外内部留保利益は約48.3兆円と過去最大を更新している。その後の円安を踏まえれば、現時点ではさらに大きな額になっているだろう。
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