
岡倉天心『新訳 茶の本』大久保喬樹 訳/KADOKAWA
前回は、チームプロジェクトの肝を『茶の本』から見た。そして本書からの学びは、企画発想術にも及ぶ。著者の岡倉天心は、茶室の設計思想にこそ「茶の精神」の根幹が込められているという。
茶室は古来「すきや」と呼び習わされてきたが、それには3通りの漢字を宛てることができる。「空き家」「数奇家」「好き家」だ。この3つを、私は企画を発想するうえで大事な基準としている。
「空き家」と「数奇家」
「空き家」は、文字どおり、まったくの空っぽな空間。つまり、茶室が万物を受け容(い)れることのできる「虚」であるということ。
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