「修造の日めくり」は、だからバカ売れする 実は「感情コントロール」の技術が満載

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もう一つご紹介します。「17日」のページには「干し餅は干されているようで、干されていない」というタイトルが付され、コメントには、

 自分は誰からも必要とされていないなんて、思っているのか? 干し餅を見てごらん。干し餅は真冬を迎える頃、寒風にさらすために1ヵ月以上も外で放ったらかしにされる。でも、作物のとれない時期には、保存食として重宝されるんだ。

 

とあり、また「27日」のページには、「カメはベストを尽くした。君はどうだ?」と書かれており、

 「ウサギとカメ」を読んで、僕はこう思った。……(中略)カメは最初からウサギなどまったく気にしていなかった。ただひたすらゴールだけを見て自分のベストを尽くした。夢に向かうときは、他人との競争は必要ない。自分が決めたゴールだけを見て、ベストを尽くせばいいんだ。

 

とコメントされています。これらは、「ミラクルデイ・エクササイズ」というアンガーマネジメント・テクニックと類似的です。

「理想の日」に近づくためには?

これは自分が抱えている諸問題がすべて解決している理想の日(奇跡の日)をイメージし、その日に向かうための方向性やできることを具体化、実践するためのものです。これにより解決思考、未来思考で日々をすごすので、過去の怒りを引きずらずに済むという利点があります。また、ゴールをイメージすることで、モチベーションやテンションが上がります。

理想の日(奇跡の日)を想像すると、そこには怒りの感情など渦巻きません。そんな日の気分はいかに素晴らしいかを想像してみれば、理想の日に近づくためにできることをしていこう!という気分になりますよね。

そのほか、「18日」のページにある「自我を捨てろ。雪だるまになれ」というタイトルからは、この連載で都度記載している「べき論、べき思考=コアビリーフ」とうまく付き合っていこうというメッセージも読み取れます。こうやって日々眺めているだけで、本当にいろいろな面からの感情コントロールを学ぶことができ、これが顧客のハートをつかみ、大ヒットにつながったのではないでしょうか。

いつも明るくパワフルな松岡さん、ご本人がアンガーマネジメントを学ばれたことがあるかどうかは定かではありませんが、日々、意図的、技術的に感情コントロールをすることで、ポジティブ思考を維持している面があるように感じます。明るい人の皆が皆、先天的に明るい性格であるわけではありません。落ち込んだり、イライラしたり、クヨクヨしたりしないための術を、皆さんのやり方で日々模索しているはずなのです。

アンガーマネジメントに興味を持たれた方は、拙著『パワハラ防止のためのアンガーマネジメント入門』(東洋経済新報社)をご高覧ください。

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