フリー転身2カ月でがんに…笠井アナが見た世界 闘病生活を「セルフワイドショー」にした真意
がんになったとき、どう生きたいか
笠井さんは最後に、がんになった男性が主人公をつとめる映画『愛する人に伝える言葉』についても語ってくれた。
映画のストーリーは、がんで余命宣告を受けた男とその母親が、限られた時間の中で人生の整理をしながら死と向き合う姿を描くもの。笠井さんには印象的なシーンがいくつもあったという。
ひとつは主治医について。
「主治医役のエデ医師を演じたのは、ガブリエル・サラという実在する医師。こんな先生がいたらいいな、と思ったら本当にいました」
他に出演している病院のスタッフも役も、本当の医療従事者たちが含まれているという。非常に珍しい映画だといえる。
サラ医師が大事にする信念は、嘘をつかないこと。映画では、実際にサラが普段仕事でやっていること、言っていることしかやらないとし、それを基に脚本を作ったという。
患者にもウソはつかない。そのため、患者の男性には「あなたは長くないです」とハッキリ伝える。本当のことしか言わないが、完全に各患者に寄り添うと決めている。
特に印象的だった言葉は、息子の母に対して「旅立つ許可を与えましょう」「死ぬタイミングを決めるのは患者さんです」と伝える場面だという。
患者が「もう自分は頑張り尽くしたから、死んでもいい」と思ったら、そこで認めてあげるのが家族。それが最大の贈り物だと、そのシーンが心に残ったという。
一日でも長く生きていて欲しいと家族は思うかもしれない。これだけ医学が進めば延命もできる。でも、本人は生き抜きたいのか。最後はどう着地したいのか。希望とは何か。
笠井さん自身が聞かせてくれた、がんになったとき、自分がどう生きたいのかというメッセージとも重なってくる。
新たな船出をするタイミングでがんが発覚した笠井さん。怒りや悲しみに苛まれながらも、決して前を向くことをやめなかった。心を閉じなかった。自分にできるベストを尽くし、抗がん剤に苦しみながらも世の中に発信を続けた。
単調になりがちな入院生活も、早い段階で工夫した。患者として、一人の人間として、常に能動的に生きたのだ。
がんという言葉のパワーはとても強い。体に大きな負担が強いられる。もし、自分ががんになったら――。自分がどうありたいか。誰とどんな人生を過ごしたいか。
笠井さんの生き方から学ぶことは多い。
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