がん患者でも仕事を続けたほうがいい絶対的理由 治療費の問題だけじゃない、働くことの意味

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仕事を続けながらがん治療ができる時代、「仕事」と「医療費」、気になる「先進診療」について専門医が解説します(写真:freeangle/PIXTA)
この病院でいいのか、この治療法でいいのか、受けている治療がうまくいっていない気がするが、誰に相談すればいいのか……。そんな不安がつねにつきまとうのががんという病気です。
たとえ同じ治療をしていても「効果が上がりやすい患者さんには多くの共通点がある」と、抗がん剤治療の名医である井岡達也氏は分析します。それはいったい何でしょうか?
治療法の選択、主治医を味方にする話し方からお金の使い道など……。後悔のない治療をし、効果を最大限にするために患者側でできることを親身かつ具体的にアドバイスする同氏の新刊『がん治療 うまくいく人、いかない人』より、抜粋してお届けします(2回目)。
1回目:もしもがんに…「治療効果を上げる」告知の受け方

がん治療はお金がかかるが…

多くの医師や看護師は、あなたの手術や抗がん剤治療にどのくらいの費用が必要なのか、ほとんど知りません。

医療者はコスト意識が低いといわれれば弁解できませんが、医療者が患者さんの治療費負担について細かい配慮をしなくても、国民皆保険制度と高額療養費制度の2つの制度のおかげで、わが国では経済的理由で治療をあきらめる患者さんが少ないのも事実です。

保険診療として認可された治療であれば、自己負担は1割から3割で、全額を支払う必要がありません。また、高額療養費制度は、自分の年齢や世帯所得に応じて、一定金額を超えた自己負担分が払い戻されるという制度です。事前に届けておけば、最初から限度額を超えた分を支払う必要がありません。

ひと昔前と比較して、がんでも長期入院することが少なくなりましたが、抗がん剤治療は長期間に及ぶこともあります。抗がん剤は決して安くないので、高額療養費制度の限度額にはつねに達する可能性があります。働きながら治療を継続できるならよいのですが、体調不良で仕事を辞めなければならないとなると、やはり少なくない医療費の負担が患者さんの上にのしかかってきます。

もしがんになった場合を想定するならば、個人で加入する保険の見直しや、一定額の貯金をしておく必要はあると思います。会社員や公務員は休職しても、ほとんどの方が一定額の給料を保証されるでしょう。しかし、自営業やアルバイトでは、そうはいかないからです。

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