賛否両論の「デジタル給与」押さえておきたい論点 それでも進めたい?見えてくる政府側の思惑

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デジタル給与が本格スタートするまでに、こうした細かい補償条件についても詰められるだろう。利用者側も内容をよく知っておかなくてはならない。

デジタル給与化で企業側の手間は増える

デジタル給与が選択できるようになれば、参入するスマホ決済事業者は受取口座に登録したユーザーにポイントを提供したり、そこから貯蓄や積み立て投資の設定をした場合にさらにポイント付与等のキャンペーンを打ってくるのではと想像できる。

特に、デジタル世代を囲い込むには絶好の機会となるだろう。金融サービスと連携したポイント還元競争は、さらに熾烈なものになりそうだ。

給料振り込みの一部を奪われそうなレガシー銀行たちはどう立ち向かうのか。

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例えば、デビットカードやスマホデビットに力を入れ、キャッシュバックやポイント還元率を上げるキャンペーンなどはありうる。それより自分たちは住宅ローンなどで稼げばいいと、様子見を決め込むかもしれない。

とはいえ、デジタル給与を導入するか否かは、そもそも勤務先が動かなければ始まらない。通常の銀行振り込みに加え、デジタル給与口座への振込作業が二重に発生すれば、手間が倍になることは確かで、そのぶん時間とコストがかかるだろう。

慣れないうちはアプリ側への振り込みミスもないとは言えない。企業にさらなる事務コストが発生するなら本末転倒だ。そのあたりも整理されるべきだろうし、そこにコストをかけるくらいなら1円でも給料を上げてくれよ……という労働者からのぼやきも聞こえてくる気がするのだが。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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