ロシア住民投票で急激に高まる「核使用」の現実味 もはやプーチン大統領による脅しだと侮れない

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これはウクライナを見ればわかる。ウクライナは国家防衛のために総動員をかけ、成人男子のほとんどが徴兵されているため、兵員の数ではロシア側を圧倒している。それが、ロシアの「作戦」を食い止め、紛争が長期化している原因である。

しかし、ロシアが大義名分を得て国民の支持の下に兵力の投入を拡大することになればどうなるか。これが、紛争が新たな局面を迎えるということの意味である。

確かに戦闘経験や軍事の技能を有する予備役を部分動員することについては、ロシア国民の中にも動揺が見られる。国外に逃亡しようとしている人が急増しているとの報道もある。しかし、徴兵の忌避は処罰の対象になるし、いつまでも逃げ続けられるわけもない。ウクライナは国家総動員体制で戦っているのである。

一般人を戦闘に動員するリスク

問題は一般人が戦闘に駆り出されることでどのような結果が生まれるのかということだ。ロシアではこれまでに比べて社会不満が強まるリスクが高くなるだろう。ウクライナは侵攻されたたためにやむを得ず戦わざるをえない状況に追い込まれているのだが、ロシアはやめようと思えばやめられる立場にある。

この状況で一般市民を戦闘に動員するというのは、一般社会において受け入れ許容の範囲を超える可能性がある。そうなると、プーチン大統領への高い支持率が急激に下がる危険性がある。

しかし、ロシアがウクライナによって、そしてその背後にいるアメリカとNATOによって攻撃されたとしたらどうだろうか。「祖国防衛」のために戦わざるをえないという状況が生み出されることになる。

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