ロシアが事実上の支配を確立している地域であるウクライナ東南部の4州、ドネツク、ヘルソン、ルハンスク、ザポリージャにおいて、9月23日から27日の期間に、同地域のロシアへの編入に関する住民投票を実施した。結果はまだ明らかになっていないが、"賛成多数”で4州はロシアに編入される可能性が高いとみられている。長期化するウクライナ戦争はこの投票によって新たな局面を迎える。
「安全保障」と「歴史的正義」を主張
ウラジーミル・プーチン大統領は21日、住民投票について国民向け演説の中で、これらの地域の住民が「自らの未来を自ら決定したいという真摯な思いに応えないわけにはいかない」「住民投票の実施のための安全な状況を保証するためにできる限りのことをする」と述べた。そして、「いかなる結果であろうとわれわれはそれを支持する」と言ったのである。
つまり、住民投票によってロシアへの編入が可決されれば、ロシアはそれを受け入れ、ウクライナの一地域であった領土をロシアのものとすることになる。
これは一体いかなることであろうか。第二次世界大戦以後、このような形であからさまに領土を拡大するようなことがロシアのような大国によって行われることになろうとは思いもよらなかったことである。それも、2014年のクリミア「併合」に続いて、2度目である。ロシアはどこまで行こうというのか。
ロシアや4地域の代表者らが主張する住民投票の根拠は、「安全保障」と「歴史的正義」である。安全保障というのは、「ウクライナ軍が攻撃してくるから」ということに尽きるのだが、特に生活インフラへの攻撃を問題視している。
これは前線の奥地に位置する都市や集落への砲撃、ドローン攻撃などを意味している。ウクライナに供与されたハイマースといった攻撃兵器によって可能になったものなのだ。プーチン大統領は、アメリカや北大西洋条約機構(NATO)がウクライナに武器を供与することによってウクライナを利用してロシアを破壊しようとしているといって怒っているのである。
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