──パートナーの方の件のみならず、紀明さん自身に向けられたハラスメントについても訴えを起こしたということですが。
はい。学校側に、ハラスメントについて報告し、対処を要求しました。
しかし、ケアや加害者への処罰があるわけではなく、頼りにならないどころか、明確に上司の味方についてしまって。「あくまで指導の一環」「訴えられるようなことはしていない」という姿勢を崩さず、非を認めませんでした。
上司からパワハラを受けているだけでも苦しいのに、起こっている事態について責任を取るべき上の役職の人間とも対立しなければならず、精神的に追い打ちをかけられました。
理事長までも同じようなハラスメントをしている
──上層部によってそういったハラスメントが横行する土壌が作り上げられていたんでしょうか。
そうですね。というか、理事長も加害者と似たようなことをする人なんです。自分以外の職員が理事長から怒鳴られている姿を見た経験は5〜6回では済みません。机をバンバンと叩きながら、部屋中に響き渡る大声で「バカタレ!」と叫ぶ……という行為を何度も見ています。仕事でミスをしてしまった場合もあったかもしれませんが、部屋中に響き渡る大声である必要はないはずですし、あまりにも攻撃的だと感じました。
こういう環境で10年以上働いて少しずつ消耗し、「もうダメだ」と思い心療内科を受診したのですが、すぐに精神科へ取り次がれ、診断を経て「いったん休んだほうがいい」と休職を勧められ、半年間休職することになりました。
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これまでも本連載で取り上げてきたとおり、「人目につくところでなじる」ことはハラスメントに該当しうるということをここに改めて記しておきたい。業務上の指導は心理的安全性が確保された場で、声を荒らげずやるべきという通念が広まってきているが、まだ認識していない人もいるということがわかる。
後編では、紀明さんが学校側に訴えを起こすにあたって行ってきたことを詳しく聞いていく。綿密に利用できる制度や頼れる機関を調べ上げ、計画的に対応されてきたことが伺い知れ、似た被害に悩まされる人にとって参考になるはずだ。
(後編は10月14日の配信です)
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