──詳しく教えて聞かせていただけますか。
例の上司は気に入った生徒を徹底的に贔屓するのですが、そういった生徒たちに向けてありもしないことをいろいろと吹き込んでいたんです。主にLINEを使って流布していたのですが、生徒とLINEの連絡先を交換することは禁止で、服務規程に反しているんです。
しかし、先程申し上げたように現場には彼に意見できる教員がいないので、好き勝手がまかり通る状況でした。ほどなくその噂話が広まって妻自身の耳に入り、大きなショックを受けていました。
ーーLINEというと、証拠も残るわけですよね。
そうですね。複数の生徒からスクリーンショットを入手しています。
また、上司はLINEだけでなく、気に入った生徒を食事に誘ったりもしています。そういう場で教員やクラスの情報ーーたとえば教員の生徒からの評判や、生徒間の人間関係でどんな問題が生じているかなどーーを聞き出して、教員を陥れる材料を集めているんです。
生徒たちにも理不尽さは伝わっているが…
──その生徒というのはクラスで目立つような子なんでしょうか?
いえ、逆に素朴で悪気のない子を選んでいます。本人は利用されていることに気づいていないと思います。だからこそ、いろんなことを話してしまう。上司はそういうのを嗅ぎ分けるのに長けてるんでしょうね。
それ以外の大半の生徒には先程言ったような理不尽さが伝わっていて、「話が通じない人」とか「呆気にとられるような言動をする人」という認識を持たれていると思います。
例えば、ある日授業が盛り上がってクラスがにぎやかになったとき、漏れ聞こえた声に反応して隣のクラスから突然入ってきて「何をそんなに騒いでいるんだ!」と当たり散らして出ていったことがありました。学級崩壊だとか、生徒が授業と関係ないことで騒いでいたとかいったことではなく、ただ和やかに授業をしていたところに乱入してきた感じで、生徒たちはポカンとして静まり返っていました。
──そういう部分についての警戒心が薄い子を嗅ぎ分けていると。
おっしゃるとおりです。
こういった感じなので、生徒からしたら学校や教育委員会に訴えるような角度のことは起こっておらず、問題として顕在化しないんですよね。ただただ「あの先生ってなんかやりにくいね」という認識が広まって、深く関わらないようにしよう、となるだけ。
だからこそ、私のように直接被害を被った人間が孤軍奮闘せざるをえないところがあると思います。
実際、妻の件についても上に報告したんですが、状況はまったく改められませんでした。こんな状況なので、私が妻に何か相談するとか、逆に私が妻の助けになるというのではなく、お互いの傷の舐めあいのような状況にならざるをえませんでした。
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