いくつになっても…「親子ラン」の意外なメリット 「キャッチボールにはない良さ」が走りにはある

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子どもと一緒に走る。キャッチボールにはない「良さ」があるといいます(写真:8x10/PIXTA)
足を蹴り上げ、腕を大きく振る――。この「走る」というシンプルな動作に隠されている心とのさまざまなつながりを、プロランニングコーチの金哲彦さんがひもといていく本連載。
第2回は、「走る能力」の成り立ちと「親子ラン」の2つについて考えてみます。子どもって、本当にちょこちょことよく走りますよね。そこには深い理由があったようなのです。

「人生100年時代」ともいわれる長寿社会になりましたが、長生きだけでなく「健康寿命」にも注目が集まっています。今回は、そんな長い人生の始まりと「走る」という能力の成り立ち、そして「親子ラン」ついて考察してみたいと思います。

「うつ伏せ」から「つかまり立ち」まで

生まれてから成人するまでの18年間は基本的に親に育てられます。まずは赤ん坊としてお母さんから生まれ、小学校に入学するまでの乳幼児期。そして、小学校に通う学童期。やがて、思春期を体験する青年前期を経て、大人になる準備期間の青年後期という順番をたどります。

母乳とオムツのお世話になる乳幼児期は、まず首がすわって寝返りができることから始まります。それまであおむけしかできなかった赤ちゃんが寝返りできるようになると、うつ伏せ状態になります。

うつ伏せのままだと窮屈なので、赤ちゃんは腕の力で頭を起こそうと頑張ります。その努力が腕の力を発達させます。やがて、頭を持ち上げたぶんだけ目の高さが上がり視界が広がります。赤ちゃんはみな好奇心が旺盛です。いろんなものを見たり触ったり口にいれたくなります。すべては生きる本能です。

腕の力が発達したことで、胴体と脚を連動させ前に進む「はいはい」ができるようになります。「はいはい」は自力で移動できる最初の運動能力なのです。

「はいはい」の次の段階は「つかまり立ち」です。ソファの座面などに手をついて二本足で立てるようになると、視界は驚くほど広がります。それまで地面の近くしか見えなかった狭い世界が部屋の隅々まで見渡せるようになり、赤ちゃんの好奇心がさらに刺激されます。そして、もっと動きたいという衝動が運動能力となって一気に進化するのです。

赤ちゃんがつかまり立ち→ふらふらしながら立つ(何度も転びます)→ふらふらしながら歩く(再び転びます)を経て、体ひとつで動く移動手段として最も早い「走る」能力を獲得するまではそれほど時間はかかりません。

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