VW「ポロ」14万円高の「ゴルフ」でも出せない価値 最新モデルに試乗、純内燃機関ラストになるか?

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フォルクスワーゲン「ポロ」
シャープで彫りの深くなった立体的なデザインを採用した前後パンパー(筆者撮影)

ポロは1975年の初代発売以来、全世界で1800万台を売り上げたコンパクトハッチバックモデルの代表モデルだ。マイナーチェンジ前の従来型は2018年に日本へと導入され、当時の7代目ゴルフに対して弟分的なデザインをまといながら、充実した装備とリーズナブルな車両価格をセールスポイントに好評を博した。今回の新型ポロは、内外装デザインに8代目ゴルフ(以下、ゴルフ8)の要素を部分的に採り入れ商品力を大幅に向上させてきた。

筆者がポロにじっくり乗るのは1年ぶりだったが、コンパクトな車体と軽量なボディ(試乗モデルは1170kg)による爽快感はやはり心地よい。過去、ドイツ車は質実剛健と評された。当然ながら1996年に日本に初めて導入されたポロ(通算3代目)も“小さな実用車”であった。色気が少ない反面、小さなボディからは想像できないどっしりとした走行性能で大いに評価された。また、身体を面で包み込むシートに始まり、無骨だが見やすいメーターやタッチのいいスイッチ類に囲まれて不慣れな道や悪天候下であっても安心できた。

カタログ値は心もとなくてもキビキビ走る

新型ポロはそうした質実剛健さを残しながら、時代が求める洗練された装備と質感で市場に問う。外装ではゴルフ8譲りのLEDマトリックスヘッドライトを採用し、前後バンパーにはエッジを利かせた処理を施した。内装ではデジタルメータークラスターやタッチコントロール式のエアコン操作パネルなど、やはりゴルフ8で好評な手法を採り入れている。

箱根の山道では95PS/17.9kgf・mのカタログ値が心もとなくなるが、トルク特性に優れる直列3気筒1.0Lターボはイメージ通りに走らせることができる。従来型にも採用されていた7速DSGは新型でも同じ乾式クラッチ方式でスパッと鋭いクラッチ制御を行う。しかし従来型では、緩やかな登り勾配路であっても発進時に多少のギクシャク感を伴っていた。またアイドリングストップからの再始動→発進においても、駆動力が伝わるまでにはわずかながらタイムラグがあった。

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