「WHILL」電動車いすを発展させた乗り物の正体 自動運転を組み合わせた実証実験の進捗度合い

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WHILL
近距離モビリティの新しい時代を築きつつある「WHILL」(筆者撮影)
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高齢になって足腰が弱り、これまでのように徒歩で遠方に行きにくくなった。家族から迫られ運転免許の返納をしたため乗用車の運転をしなくなったが、それでもちょっとした外出はしたい。先天的あるいは後天的に下半身に障害があって自由な移動はなかなかままならない。

こうした人々の移動手段として近年、注目を集める乗り物がある。「電動車いす」から発展した新しい近距離モビリティ「WHILL」である。

WHILLは2012年に創業した日本発のベンチャー企業。東京・品川が本社でアメリカ、オランダ、中国にも現地法人がある。その社名と同じ名前が冠された近距離モビリティの「WHILL」は自らジョイスティックを使って運転操作を行う以外にも、羽田空港や成田空港では自動運転技術を組み合わせた乗り物として活躍している。

日本における近距離モビリティには長い歴史がある。歩くようなゆっくりとした速度で走る乗り物、いわゆる歩行領域の乗り物として日本では45年ほど前から開発がスタートした。

このうち、もっとも身近な乗り物が電動車いすだ。日本における電動車いすの販売は1970年代の後半から始まり、自動車メーカーのスズキでは「セニアカー」(スズキの登録商標)という名称で現在も販売中で、ホンダもかつて「モンパル」という名称で販売していた。

誰でも運転できる近距離モビリティ

WHILLも、道路交通法上に定められている「電動車いす」に属する。法律の条文によると、電動車いすは歩行者扱いなので運転免許証は必要ない。つまり誰でも運転できる。

さらに条文では次のとおり定められている。

①車体サイズが長さ120cm、幅70cm、高さ109cmに収まっていること
② 原動機として電動モーターを使っていること
③ 6km/hを超える速度が出せないこと
④ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと
⑤自転車や原動機付自転車と外観上で明確に識別できること

これらに合致すれば電動車いすとなり、このうち国家公安委員会の型式認定を受けた電動車いすには「TSマーク」が貼られ、基準に適合しているかどうか容易に判別できる。

また、身体の状態によって①の車体サイズを上回る電動車いすを使用する場合には、使用者の居住地域を管轄する警察署長の確認を受ければ使用可能だ。

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