「WHILL」電動車いすを発展させた乗り物の正体 自動運転を組み合わせた実証実験の進捗度合い

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筆者は数タイプあるWHILLのうち、折りたたみ可能な「Model F」(27万3000円/非課税扱い)に建物内、歩道、駅構内で試乗した。Model Fは電動モーターで後輪を駆動する。搭載するバッテリー(25.3V/10.6Ahのリチウムイオンタイプ)は5時間で満充電(家庭用100V)となり、満充電1回あたり約20kmの走行が可能だ。

WHILL Model F
Model Fを折りたたんだ状態(筆者撮影)

見た目はいわゆる電動車いすのイメージと少し異なり、ちょっと立派な折りたたみ式のオフィスチェアのようだ。実際、車体は軽量コンパクト(バッテリーを搭載した走行可能状態での重量は26.7kg)で、車体を構成するフレームの左右には全5色から選べるカラープレートを用いるなどポップで軽快なデザインとなる。

腰掛けて驚いたのは、見かけ以上に身体がしっかりサポートされること。Model Fは折りたたみ式なのでシートの座面、背もたれ部分が他のWHILLよりも若干薄くなっているようだが、シートの面圧分布が考慮されていて安定感が高い。

座ったら足元のフットプレートに両足をのせ、右手のアームレスト部分にある操作パネルに手を置き、そこから伸びるジョイスティックを前後左右に倒すことでその方向へとWHILLはゆっくりと移動する。上限速度は操作パネルや専用アプリをインストールしたスマートフォンから任意で設定可能。設定できる最高速度は6km/hだから周囲の状況に応じて変更すればいい。

オフィス内でも移動は容易

まずはWHILLの走行特性を知るために建物内で走らせる。車体サイズは全長935mm、全幅555mm(最大605mm)、全高802mmだからオフィス内でも移動は容易で、人ひとりが歩けるスペースがあれば周囲に気遣うことなく移動ができる。最小回転半径は780mmと非常に小さく、旋回も可能だ。また、利き手など利用者の状況に応じて操作パネルとジョイスティックは左側アームレスト部分への移設ができる。

歩道でも軽快な走行フィールは変わらない。ただし、Model Fはサスペンション機構がないため前後タイヤからの入力はシートやアームレストに置いた手に直接に伝わってくる。もっとも、路面状況の伝達は安定走行に欠かせない要素だが、路面状況によっては振動が連続して伝わってくるので最初は戸惑うかもしれない。気になる坂道での走りも優秀で、Model Fの登坂能力は10度あるため大抵の坂道は登り切れた。

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